ハルスは1604年出版の『画家列伝』(原題 Het Schilder-Boeck)の著者として有名なカレル・ヴァン・マンデル(1548年―1606年)に師事しました。この本の中で、彼は描写法について、「きちんと描く」、「大まかに描く」という2つの方法を記しました。一方はなめらかで緻密な作風となり、もう一方はそれとは正反対の荒々しく幅広い筆使いになります。ヴァン・マンデルは読者に対して、「大まかに描く」技法は最高の巨匠だけが使いこなせると警告していました。まさにこのスタイルこそが、傑出した才能を持つハルスが労せずに習得した様式でした。彼の的確な手さばきと鋭い眼識により、秀逸な効果を画面に生み出しています。