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エヌエヌ生命 / 会社情報 / 社会貢献活動 / 日蘭協業支援プログラム MONO MAKERS PROGRAM / 色で世界とつながるエヌエヌ生命がリ・デザインする鮮やかなコラボレーション ~ 第6回京都インターナショナル・ギフト・ショー2025トークイベントから

色で世界とつながる
エヌエヌ生命がリ・デザインする鮮やかなコラボレーション
第6回京都インターナショナル・ギフト・ショー2025トークイベントから

ヴァン・ゴッホ、ピート・モンドリアン、ヒエロニムス・ボム。オランダが生んだ色の使い手、境界を超えていく芸術家たちだ。オランダには鮮やかなチューリップも豊かな水路もある。そんな色と交流の国に、2人の“3代目”が出会った。

 

西陣織の金糸の材料となる金箔紙からはじまった、関西巻取箔工業株式会社KANMAKI(https://www.kanmaki-foil.com/)の久保昇平氏、仕事の顔となる旗や暖簾を作り続ける老舗、株式会社加藤健旗店/kiten.(https://kiten.kyoto/)の加藤剛史氏だ。

どちらも創業は祖父。父の後を継いだ2人が新たな道を切り拓こうしている。

京都ギフト・ショー2025は来場者数約1万6千人、トークイベントに登壇する2人

MONO MAKERS PROGRAM

オランダにルーツを持つエヌエヌ生命保険株式会社(以下、エヌエヌ生命)が2023年からJapan Cultural Exchange(以下、JCE)とともに実施している日蘭協業支援プログラム「MONO MAKERS PROGRAM

 

日本のものづくりの担い手と、オランダのクリエーターがオンラインプラットフォームで出会い、協業を通して欧州展開を目指す本プログラム。2年目となる今回は、久保氏と加藤氏からクリエーターへ「一緒に協業しませんか」と声をかける機会を提供した。久保氏はアーティストのシグリッド・カロン氏(https://www.sigridcalon.nl/)と、加藤氏はデザイナーのローラ・ルフトマン氏(https://www.kukka.nl/)とタッグを組み、新たなクリエイションが始まった。

共同クリエイション

KANMAKI meets シグリッド・カロン

久保氏「顔料箔のことを知ってもらいたいという想いで参加したプログラムです。エヌエヌ生命が主催するオランダへのスタディツアーに参加することで、色が溢れ遊び心があるデザインを目にしてきました。僕を知らないシグリッドさんとコラボレーションする時に、僕自身がオープンにならなければ相手の扉も開けないと考え、自分の育った環境や大切にしているコトを共有するところから始めました」

教会を改装したというカロン氏のアトリエで、和やかに相談が進む

KANMAKIはOEM中心の事業を、一般向けのプロダクトとしても再提案することに挑戦している。その第一弾がボールペンの筆圧だけで箔が転写できる「煌葉-kiraha-」だ。今回のコラボレーションでは、カロン氏のポップなデザインと鮮やかな色彩を活かした「HAKU-HAKU creative DIY toolbox」を試作することになった。アートフレームの役割も果たす箱にもこだわり、北海道の箱メーカーであるモリタ株式会社と協業。オランダ、京都、北海道をつなぐ華やかでハイセンスなプロダクトだ。こちらはまだ試作品。これからカロン氏と発展させていく。

KANMAKIとカロン氏の協業プロダクト=「HAKU-HAKU creative DIY toolbox」
この花の色彩もカロン氏ならではの提案。そこに煌葉-kiraha-のゴールドが重なる

kiten. meets ローラ・ルフトマン

加藤氏「元々、海外展開をしていかないと日本の技術や職人さんがいなくなってゆくのではないかという危機感がありました。JCEの中條さんにプログラムを紹介していただき、色とデザインが印象的なローラさんにコラボレーションをお願いしました。スタディツアーでは実際に染めたものを前に相談をする時間もいただきました」

ルフトマン氏のアトリエで色を確かめていく加藤氏

kiten.は旗や暖簾で培った技術を、機能的なエプロンやガジェットケースに展開。ルフトマン氏と相談する中で、雨の多い欧州では室内着が重要であることを知る。そこで取り組んだのがラグジュアリーなラウンジウェアだ。プロジェクト名は東と西の文化をつなぐ意を込め’’TOZAI’’。普段なら切り捨てられる染めの跡を生かしたデザインと、ルフトマン氏が提案する色の組み合わせで、今までにないユニークで美しい日常着が生まれた。

夕焼けをイメージしたという色合わせのラウンジウェア。ルフトマン氏ならではの色の提案だと加藤氏は絶賛する
染め跡もデザインに加えられている巾着。ブルーのグラデーションは空と藍染をイメージした

その先へ

第6回京都インターナショナル・ギフト・ショー2025トークイベント

一期一会。エキサイティングに作って、それで終わりにしない。プロジェクトを進行し見守るエヌエヌ生命、保谷氏はさらにその先を見据える。

 

「自分の家業で食べて行くためには、やっぱり売り上げを立たせて行かなければいけない。そのためには販路を開拓して行く必要がある。今回できた“良いもの”をどのように流通させていくのか」

 

久保氏「“箔をつける”が我々のメッセージです。木や布、プラスチック、ガラス、あらゆる素材に転写できる顔料箔を皆さんの生活にも持ち込んで、気持ちを華やかに人生を楽しんでほしい。そういった点でアートにも親和性があり、ミュージアムショップなどから拡げて行きたいと考えています」

関西巻取箔工業株式会社KANMAKIの久保昇平氏

加藤氏「海外の展示会に出展し、販売してくれるパートナーを見つけていくのはもちろんですが、なかなか一般の方に手に取ってもらうことは難しいと感じています。それが実現できる場所の一つとして、国内外のホテルでテスト的に使っていただくことをスタート地点に据えたいと思います」

未来へ向けて

オランダのアーティスト、デザイナーと出会ったことで未来の展望がまた一つ増えた。

久保氏「シグリッドさんに、箔の新しいカラーパレットを作成していただこうと思っています。デザイナーやユーザーに直接箔を選んでいただけるように、カラーパレットを煌葉-kiraha-の仕様で提案。その場でデザインのイメージを膨らませることができる“空間”をつくります。自社の製品に直接“箔を描く”体験は相手の熱量を加速させるはず。それはものづくりで大切な遊び心を守ることでもあります」

加藤氏「京都は外から来たものを、京都ならではの技術で職人さんたちが作り上げてきた歴史があります。オランダのデザイナーと協業するために調べ物をして行く中で、京都だけでなく、いろいろな地方にそれぞれの技術があることを知ることができました。日本の地域の特色を海外に紹介しながら、私たちが培った技術で橋渡しをしていきたいと思います」

株式会社加藤健旗店/kiten.の加藤剛史氏

2人の話に何度も頷きながら、保谷氏は明るい期待を込める。

「このプロジェクトはオランダとのつながりを介して事業の再定義をし、ご自身の家業を繁栄させていくことをサポートする取り組みです。プロジェクトを通じて、日本の伝統産業をアクティブにすることを目的としています。今回ご参加されたお二人が、地域や産業をけん引する存在となり、業界にポジティブな影響を及ぼすことを願います」

左から保谷氏、久保氏、加藤氏。真剣な眼差しと笑顔が絶えないトークになった

色でつながり色で溢れた今回。最後に2人に、今の心境を色で例えてもらった。

「僕はJAPAN BLUE(=藍色)」と久保氏。越境したからこそ気づいたアイデンティティの色だ。加藤氏は「夕焼け色です。」ラウンジウェアにルフトマン氏とともに配色した夕焼けの色は加藤氏の心も染めた。オランダと日本を結んだ両者の色は、鮮やかに世界へと拡がっていく。