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「物価が上がる」「給料が増えない」「景気が悪い」、こうした話を耳にしても、それが日常生活や会社の経営にどう影響するのか理解できていない方も多いでしょう。
実は、物価(モノやサービスの価格)の動きには主にインフレ・デフレ・スタグフレーションの3パターンがあり、それぞれが家計と企業に異なる影響を及ぼします。本記事では、この3つの経済状態が日常生活や会社の経営に及ぼす影響について、具体例を交えて分かりやすく解説します。
インフレ・デフレ・スタグフレーションは、それぞれ経済状況をあらわす言葉です。ここでは、それぞれの経済状況について、概要を詳しく解説します。
ひとつずつ見ていきましょう。
インフレとは、物価が持続的に上がっていく状態を指します。小さな値上げが積み重なることで、家計や企業の資金繰りに影響することがあります。
物価の上昇にあわせて給料も同じように上がれば問題ないものの、収入が追いつかない場合、実質的に使えるお金が減ってしまいかねません。とくに、経営者にとっては仕入れや人件費の上昇がそのまま利益を押し下げる要因になる恐れもあります。
一方で、価格転嫁がうまく機能すれば企業の成長を後押しする側面もあり、インフレは常に「リスク」と「チャンス」の両面をあわせ持つ存在だといえるでしょう。
デフレとは、物価が継続的に下がっていく状態のことです。多くの商品やサービスにおいて、去年まで1,000円で売れていた商品が今年は900円、さらに800円と値下がりしていく状況のことを指します。
消費者にとっては一見「安く買えて得」のように感じられるでしょう。
しかし、その裏側では企業の利益が削られて人件費が抑えられ、雇用にも影響がおよぶ可能性も考えられます。収入が伸び悩んだり減少したりするなかで、人々はますます支出を控えるようになるでしょう。
結果として、商品やサービスが売れなくなり、景気はさらに冷え込んでいく恐れがあります。
経営者の立場で見ると、売上は伸びないのに価格競争だけが激しくなり、値下げをしなければ顧客が離れ、値下げをすれば利益が出ないという厳しい状況といえるでしょう。
スタグフレーションとは、景気が悪く売上や雇用が落ち込んでいるのに、物価だけが上がり続ける厄介な経済状態です。コストは値上がりしているにもかかわらず、消費者の財布のひもは固くなり、商品が売れにくくなる傾向にあります。
企業としては仕入れ代と人件費は上がるのに、価格転嫁すれば客離れが起こり、価格を据え置けば利益が削られます。一方、消費者も収入が伸びないなかで生活費だけが上がるため、さらに支出を抑え、景気が冷え込みやすくなるでしょう。
景気の悪化と物価上昇が同時進行することで、企業にとっても家計にとっても身動きが取りにくくなるのがスタグフレーションです。
インフレが私たちの暮らしに与える影響について、以下3つの観点から解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
インフレが進むと、食料品や電気代・ガソリンなど生活に欠かせない支出が総じて膨らんでいきます。ここ数年、日本ではインフレの影響で家計の負担が増している面があります。
実際、2020年を基準とした消費者物価指数において、値動きの大きい生鮮食品を除いた総合指数は、2020年を100とすると2025年12月分で112.2まで増えました。(参考:総務省 統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI)結果 全国(最新の月次結果の概要))
このデータは、2020年には10,000円で購入できた商品やサービスが約11,220円支払わないと買えないということを指しています。
実際、1年前と比べて物価が上がったと感じる人が9割を超えています。(参考:「生活意識に関するアンケート調査」(第103回<2025年9月調査>)の結果|日本銀行)
このように、実感として家計の負担を感じやすいのもインフレの特徴です。
インフレの状況下では、お金の額面は減っていないのに、過去に購入できた商品やサービスが同じ金額では購入できなかったり、仮に同じ金額で購入できても商品やサービスの質の低下や量の減少が見られたりと、実質的なお金の価値(購買力)は低下します。近年、価格を据え置いたまま内容量を減らすことで実質的に値上げされた商品は数多く見られます。
インフレには、分かりやすく商品やサービスの物価が上昇するだけでなく、物価が同じでもよく注視すると買える商品やサービスの質の低下や量の減少が生じているという側面があることを押さえておきましょう。
インフレが進むと、原材料費やエネルギー代・輸送費などのコストが上昇します。企業は利益を維持するために、その上昇分を商品やサービスの価格に反映したいという局面が増えます。
しかし、販売価格を上げれば顧客が離れ購入する人の数が減少する恐れがあるため、コスト上昇分のすべてを販売価格へ転嫁できるとは限りません。コスト上昇分を十分に価格転嫁できない企業ほど、収益が圧迫されやすいといえるでしょう。
デフレが私たちの生活に及ぼす影響は複雑で、短期的な恩恵と長期的なリスクの両面があります。ここでは、主な影響を3つ紹介します。
ひとつずつ見ていきましょう。
デフレの局面では、物価が全体的に下がりやすく、日々の支出は抑えやすくなります。商品やサービスの価格が下がると、外食や娯楽を以前より安い価格で利用できる場面があり、家計の出費をコントロールしやすく感じることもあるでしょう。
デフレによって価格競争が繰り返されると、企業の利益が圧迫されることがあり、会社員の給料やボーナスを抑えられるかもしれません。
給料が上がらないと、さらに節約を意識して消費を減らすことにつながります。そのあおりを受けて企業の売上がさらに落ちるため「もっと値下げしなければならない」という悪循環に陥りかねません。この状況を「デフレ・スパイラル」といいます。
表面的には商品やサービスを安く買えるという恩恵がある一方で、賃金や所得が伸びにくくなるなど、将来の家計に不利に働く恐れもあります。
つまり、デフレは目先の安さの裏で経済全体の活力を削ぎ、企業と労働者の双方から「将来への安心感」を奪いかねない経済状態といえるでしょう。
物価下落が続き需要が弱い局面では、企業が人件費のカットを含むコスト削減を進めることがあり、雇用が不安定化する恐れがあります。
実際、2000年代初頭の「ITバブル崩壊」と2008年秋の「リーマン・ショック」によって、日本の完全失業率は一時期5%代を超える水準に達しました。
※総務省統計局 労働力調査 2025年12月 のデータをもとにエヌエヌ生命が作成
とくに、大学を卒業した時点で就職氷河期に直面した人の中には、正社員として採用されず、非正規雇用など不安定な働き方を余儀なくされた人も数多くいました。
このようにして、デフレは雇用情勢の悪化や働き方の不安定化を通じて、将来に対する不安を強める要因になりえます。
スタグフレーションが生活に与える深刻な影響を理解するため、以下の2つの重要なポイントを見ていきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
スタグフレーションとは、景気が悪く経済活動が停滞しているにもかかわらず、物価全般が高い水準で上がり続ける状態を指します。その影響で、賃金が伸びにくい状況が生じやすくなるのも特徴です。
2023年以降の日本では、物価上昇に対して賃金の伸びが追いつかず、スタグフレーションに近い状況だと指摘する見方もあります。
具体的には、給料の額面は増えていても物価上昇がそれ以上に大きいため、実質的な購買力が低下しています。また、経営者にとっても需要が弱い局面では値上げが難しく、従業員への賃上げの原資も確保しにくくなるでしょう。
つまり、スタグフレーションは会社も家庭も双方の負担が重くなり、悪循環に陥る恐れがある状況といえます。
スタグフレーションでは、将来への不安が強くなりやすいため、人々は支出を抑えて貯蓄を厚めにしようとする動きが強まることがあります。具体的には、外食やレジャーなどの「生活の質」を高める支出から優先的に削られるため、日々の暮らしが窮屈に感じやすくなるでしょう。
企業にとっても、需要が弱い局面ではコストを吸収しきれないため、サービス向上への投資を抑える動きが強まることがあります。結果として、提供できる商品やサービスの質や量が抑えられることにつながります。
このようにして、顧客の消費マインド低下が続けば、社会全体の生活水準がじわじわと低下していくでしょう。
インフレ・デフレ・スタグフレーションそれぞれの局面で資産運用に与える影響と、それに対する対応策について紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
インフレ局面では、物価の上昇によって現金の購買力が目減りしやすくなるため「お金をどこに置くか」を見直す重要性が高まります。
株式は、価格転嫁が可能な企業や収益が物価とともに伸びやすい業種であれば、インフレ局面でも相対的に値動きが安定することがあります。一方で、物価上昇や金利上昇の影響を受け、短期的に価格が下落する場面もあるため、インフレに常に強い資産と考えるのは適切ではありません。
不動産や不動産投資信託(REIT)も、賃料が物価に連動しやすい場合にはインフレ耐性が期待されることがあります。しかし、金利が上昇する局面では評価額が下押しされることもあり、環境次第で結果が大きく異なります。
インフレ下では「貯める」か「動かす」かの二択で考えるのではなく、生活資金は確保した上で、現金比率や分散・運用期間などを踏まえ、資産の置き方を柔軟に見直していく姿勢が重要です。
デフレ局面では、企業利益が圧迫され株価が低迷する傾向が見られます。一方で、デフレ局面では現金の購買力が高まりやすく、流動性や安全性を重視する場合は現金比率を一定程度確保するという考え方もあります。
ただし、デフレが続くと長期的には所得が伸びにくくなるリスクがあるため、現金で保有するだけでは不十分です。
景気が弱い局面では、生活必需品やヘルスケアなど比較的需要が落ちにくいとされる業種への投資が注目されることがあります。投資先を選ぶ際は、特定の銘柄へ集中することはリスクが高いため、分散を前提に検討しましょう。
スタグフレーションは、景気悪化と物価上昇が同時進行する難しい環境です。
この局面では、ひとつの資産クラスに投資を集中させるとリスクが高まりやすいため、分散投資の重要性が高まります。
具体的には、コモディティや不動産関連資産はインフレ耐性が期待され、また生活必需品・ヘルスケアなどは景気が弱い局面でも相対的に底堅いとみなされています。そのため、このような資産を組み合わせて分散を図り、インフレと景気後退の双方のリスクに備える考え方も検討する価値があるでしょう。
また、配当の高さだけで銘柄を選ぶのではなく、業績の安定性や財務の健全性といった観点を重視することも大切です。
インフレ・デフレ・スタグフレーションは、いずれも生活や経営に大きな影響を与える現象です。経営者にとっては、どの局面でも「価格」「コスト」「賃金」などのバランスを意識し、自社と従業員の生活を守る視点が求められるでしょう。
インフレ時代の経営環境の変化に対応した資産運用戦略についてさらに詳しく知りたい方は「中小企業経営者なら知っておきたい!インフレ時代に資産運用が重要な理由」の記事を参考にしてみてください。
また、経営者の万一に備える法人保険を検討する際は、インフレに備えた保険商品も有効な選択肢のひとつです。エヌエヌ生命保険の中小企業経営者向けの「変額保険(定期型)」は、運用実績に応じて保険期間中の保険金額積立金額などが変動(増減)する保険です。定額保険に比べてインフレへの感応度が高いくインフレ後の資金の増加分もカバーできる可能性があるため、中小企業経営者の万一のリスク対策としても活用可能です(エヌエヌ生命の変額保険、諸費用やリスクについてはこちらをご覧ください)。
経営環境の不確実性が高まる現在だからこそ、リスク対策のための法人保険はマーケットの環境変化を踏まえて検討しましょう。
お客さまの声をお聞かせください。
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