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私たちの事業承継#1

断る予定だった事業承継、様々な苦難を乗り越えて

 
株式会社クリエイトエンジニアリング 代表取締役 宅野 宏さん プロフィール写真

株式会社クリエイトエンジニアリング 代表取締役 宅野 宏さん

1960年山口県出身。関西学院大学卒業後、大手食品商社を経て、1991年にクリエイトエンジニアリングに入社。1998年に同社の取締役に就任し、2014年1月に先代の逝去により事業を第三者承継した。
システム設計・構築のほかシステム導入支援や運用支援および保守など手掛けており、システム関連の全般的なコンサルティング行うなど業務の幅を広げている。

 

突然の事業承継にまつわるエピソードをお聞きする「私たちの事業承継」。第1回目にご登場いただくのは、システム開発事業を展開する株式会社クリエイトエンジニアリングにて現在も同社の代表取締役を務める、宅野 宏さんです。

―どのような経緯で会社を承継したのでしょうか。

会社を引継いだのは、社長が病気で亡くなったからです。ガンでした。

12月の上旬ぐらいに先代が余命宣告をされていることがわかり、まわりからも「宅野さんが継ぐんだろう」と思われているようでした。

確かにやりたいという気持ちもありましたけど、今の財務状況では難しいという気持ちが強かったですね…。

年末挨拶の際に先代から「継いでほしい。」という話がありましたが、年明けには「やはり、今の財務状況では継げない。」と返事をしようと思っていました。

そうしたら正月の3日に容態が急変して、亡くなってしまったのです。

まだ半年は大丈夫だと言われていたのですが…。それで、嫌とも言えない状況になり、気持ちの整理もできないまま引き継ぐことにしました。

―先代がお亡くなりになられてまず何をしましたか。

取引先にはきちんと早く意思表示と挨拶をしなければいけないと思い、取引先の担当者には「私が引継ぎます。今後とも宜しくお願い致します。」と伝えました。

各取引先に挨拶をしたあと、次はどうすればいいんだ、と思いながら改めて決算書を見ました。本当に悩みましたね。借入金の数字だけが目について…。

今自分には借金がないのに、社長になれば連帯保証人となり、一気に自分に借入金分の負債が発生することになります。

なんで今まで順調に来ていたのに、突然そんな心配をしないといけないのか、と思うと1ヶ月くらいは食欲もなくなりました。

いやいや大げさじゃなくて、本当に…。

宅野 宏さんの話している写真

―承継するうえで驚いたことは何かありましたか。

銀行が借入金の連帯保証人の件で、「連帯保証人の欄にあなたの名前を記入してください!」とくるのです!

「違うじゃないですか。借りたのは私ではないですよ。」と答えても、「そうはいっても、代表取締役ですから連帯保証はあなたになります。」と。

「前の社長の借入金なので、相続する先代の奥さんが連帯保証人になるのでは?」と言いましたが、ダメなのです。

ただ、「もちろん、遺族である奥さんも連帯保証人です。」という話を聞いて、変なところで安心をしたりしました。

―承継して一番心配だったことは何でしょうか。

従業員がついてきてくれるのかな、というのが一番心配でした。

上司が変わるとついていけなくなったり、方針が変わると辞めたりなどよくありますよね。

なので、社長になる前に社員と話をして、ついてきてくれるかなど一人一人にきちんと話をしましたね。

現場の社員とは常に顔を合わせて話をしていましたので、社長という立場に変わりましたけど、気軽に話ができたのが良かったのかもしれません。

これからも社員とのコミュニケーションを大事にしていきたいと思います。

宅野 宏さん 仕事写真

―生命保険などはいかがでしたか。

先代は生命保険には入っていました。ただ、亡くなった時に借り入れが相殺になる団信(団体信用生命保険)には入っていませんでした。

団信に加入していれば、全然違ったと思うのですが。

また、生命保険の保険金が会社に入ってきても、先代の死亡退職金を払わないといけませんので悩みましたね。

「会社の負債も多く残っているので、その分退職金は勘弁してください。」と言いましたが、ダメでした。

遺族からすれば、会社を創立して30年もやってきたのにという思いなのです。

でも、私の女房もそういう立場になったら言うだろうな、と思ったらそれは仕方ないですね。

だから、保険金のほとんどは死亡退職金として先代の奥さんに渡しました。

―承継してやっていけるなと感じたタイミングはいつでしょうか。

最初の決算を終えた時ですね。

会社を1月に引継いでから月の売上はあまり変わらなかったのですが、少しずつ利益があがっていったのです。

無駄な経費を削減しました。以前から契約していたリース物件の見直しや解約など、不必要な「贅沢」を取り除いた結果です。

このまま継続すれば財務状況は改善されると初めて実感しましたし、自分たちのビジネスモデルに自信が持てた時でもありました。

 
事業承継ノート 写真

承継ノート(会社用)

 

―突然の承継を体験して行っていることはありますか?

自分がもし死んだときの為にノートを書いています。「個人用」と「会社用」の資産を分けて書いています。

それを自宅と社長室の金庫に一部ずつ保管しています。会社の資産の商品名も全部書いていますね。

死亡保険がいくらとか、どこから保険金が入ってくるとか、現時点の負債がいくらだからどう相殺できるとか。

従業員の退職金はこの資産で貯蓄してあるから安心しろとか。

後は、自分の死亡退職金はこう計算して払って欲しい(笑)とか。ここは話しかけるような感じで書いていますよ。

とにかく残った人が困ったり慌てなくて済むように。結構、事細かに書いていますね。

次につなげる為に…。

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