全国の中小企業経営者夫婦の「デジタル終活」意識調査 ~ 「デジタル終活を知っている」25.6%、「何をすべきか知っている」のは11.4% ~
- リサーチ
エヌエヌ生命は、全国の中小企業経営者※の息子・娘である20~59歳の男女728名を対象に事業承継に関する調査をおこないました。
※本調査では、従業員300人未満の規模の「会社経営者(社長、会長、取締役)」を中小企業経営者と定義しています。
<調査結果についての見解>
今回の調査で継ぐと回答した息子34.3%、娘13.7%という比率を一見すると、息子のほうが多いように見えますが、中小企業経営者の男女比率は、男性がかなり多いので、そこを考慮すると、継ぐと答えている娘さんの割合が高いことに驚きました。
親御さんが経営する会社の事業承継について「一度も話したことはない」と「一度だけ話したことがある」を足すと60.8%になります。この調査に回答してくれた、比較的、家業に近い位置にいる子供さんであっても6割が会社の事業承継について親と十分に話せていない状況が見えてきます。親と十分に話ができていないことが、突然の事業承継になったり、準備ができずに廃業となったり、自分らしく家業と関わることができていない原因になっていると考えています。まずは親と事業についての話ができること、そのきっかけやサポートとして、同じ立場の家業持ちのアドバイスやサポートが求められているのではないかと感じました。
経営者の子どもである点で、他の家庭との違いを感じたことはあるかという問いについて、「感じたことがある」、「少し感じたことがある」を合わせると57.3%です。私も運営スタッフの1人である、家業を持つ人たちが集まるコミュニティ「家業エイド」に参加する多くの方が、この「他の家庭との違い」を感じているのは自分だけととらえている様子です。今まで家業についての不安や困りごとを誰にも話したことが無かったというメンバーさんがたくさんいらっしゃいます。しかし、実際には日本には500万人ほどの人の親が経営者という状況です。自分だけが違うととらえず、同じ立場の人たちと繋がり、お互いに助け合う環境があっていいと考えます。また、「家業を廃業させたくない」、「歴史ある会社を存続させたい」という回答の多さや、自分の家業の魅力として社会や従業員や顧客に価値を生み出していると考えている方が多い点、心配・不安なこととして「資金繰りなど経営状況」、「自身の経営者としての能力」、「会社の将来」をあげている点についても、家業エイドのメンバーさんの声と一致しています。
家業持ち家庭に生まれた魅力や不安について、多くの家業持ちの人たちと共有することが重要ではないでしょうか。同じ家業持ちの仲間の選択肢を知り、困りごとに対する解決策を学び、魅力ある家業に自分らしく関わる方法をより多くの家業持ち家庭の息子さん・娘さんたちが見つけられることで、個人としても、事業としても、幸せな状態に近づくことができるのではないかと考えます。
家業を持つ人たちが集まるコミュニティ「家業エイド」の創設者の1人。
祖母は靴屋、祖父は日本家屋の内装業、親戚はバイク屋やブドウ農園と家業に関わりが深い環境で育つ。
自身の経験もあり、家業にかかわる全ての人が「継ぐ・継がない」の2択にとらわれず、 家業と自由な関わり方ができるようにしたいという思いから家業エイドを立ち上げた。
<調査結果詳細>
中小企業経営者の息子・娘728名に、会社事業の承継予定を聞いたところ、「継ぐ予定」の回答は24.0%に対し、「継がない予定」の回答は60.7%にのぼりました。
回答者の属性を中小企業経営者の息子と娘に分けて回答の傾向を見たところ、息子は「継ぐ予定」が34.3%に対し、娘は13.7%と、約20ポイントの差がありました。
また、親御さんが経営する会社の事業承継について話し合ったことがあるか聞いたところ、「一度も話したことはない」が最も多く46.2%を占め、「何度も話したことがある」は31.3%、「十分に話し合ったことがある」は8.0%でした。
さらに、親御さんが経営する会社に仕事として関与しているか聞いたところ、37.2%が関与しており、役職では「取締役・役員級」(40.2%)が最も多く、次いで「一般社員」(34.3%)、「部長・課長級」(12.9%)、「アルバイト」(10.7%)の順でした。
中小企業経営者の息子・娘728名のうち、会社の事業を「継がない予定」と回答した442名に対して、その理由を聞いたところ、「他に後継者候補がいるから」の回答が最も多く(31.2%)、「会社経営に興味がないから」(26.0%)、「自分は経営者に向いていないと思うから」(23.3%)と続きました。
また、経営者の経営存続が難しい場合、誰が代表を務めると思うか聞いたところ、「兄弟姉妹」(30.1%)が最も多く、「分からない・考えたこともない」は27.1%、「会社役員・会社従業員(家族・親族以外)」が23.1%と続きました。一方で、5.9%が「自分」と回答しており、「継がない予定」としつつも万が一の際は自身が事業承継者になる可能性を考えていることも分かりました。
中小企業経営者の息子・娘728名のうち、会社の事業を「継ぐ予定」と回答した175名に、その理由を聞いたところ、最も多かった回答は「廃業させたくないから」(56.6%)で、次いで「親に頼まれたから」(33.1%)、「会社経営に興味があるから」(21.1%)でした。
経営者(親御さん)の代数ごとに事業承継をする理由を見たところ、「歴史ある会社を存続させたいから」の回答率は、「1代目」が8.8%に対し、「2代目」では19.7%、「3代目以上」では38.9%でした。
また、会社の事業を「継ぐ予定」と回答した175名に、事業承継に際し、心配・不安なことを聞いたところ、最も多かった回答は「資金繰りなど経営状況」(38.9%)で、次いで「自身の経営者としての能力」(30.3%)、「仕入れ先や顧客との関係」(25.7%)、「会社の将来」(25.1%)と続きました。
中小企業経営者の息子・娘728名に、親御さんが経営する会社の魅力について聞いたところ、最多は「地域社会に貢献している」で28.0%、次いで「顧客をはじめ社会の要望にこたえている」が26.2%と、社会との関わりについての回答が目立ちました。また、会社事業を「継ぐ予定」と「継がない予定」での回答差を見たところ、全体的に「継ぐ予定」の回答率が高い結果でした。
また、経営者の子どもである点で、他の家庭との違いを感じたことはあるか聞いたところ、「感じたことがある」(28.7%)、「少し感じたことがある」(28.6%)を合わせた約6割(57.3%)が感じたことがあると回答しました。自由回答記述には「自身の名字が会社名である」、「親の顔に泥を塗るようなことはできないと小学生のころから思ってきた」、「家に仕事の電話がかかってきたり、取引先の方が来たりする」など日々の生活のなかで親御さんが経営者と感じるエピソードが寄せられました。
会社事業を「継ぐ予定」・「継がない予定」の回答率の差を見ると、「継ぐ予定」の「感じたことがある」が77.1%に対して、「継がない予定」の「感じたことがある」は50.5%と26.6ポイント差でした。
さらに、中小企業経営者の息子・娘728名に、他の中小企業経営者やその家庭での悩みの解決に向けてアドバイスすることに興味があるか聞いたところ、4分の1にあたる25.8%が「ある」と回答しました。
会社事業を「継ぐ予定」・「継がない予定」かで、アドバイスをすることに興味があるかどうか差を見たところ、「継ぐ予定」(45.7%)の方が「継がない予定」(18.1%)より27.6ポイント高い結果でした。
他の中小企業経営者や、その家庭での悩みの解決に向けたアドバイスに興味があると回答した188名に、どのようなアドバイスに興味があるか聞いたところ、「事業の発展・変革」が最も多く59.0%でした。
【調査概要】
調査対象:日本全国の中小企業経営者の息子または娘(20~59歳)
※従業員300人未満の規模の会社経営者(社長、会長、取締役)を父または母に持つ男女
サンプル:全国728名
調査方法:インターネット調査
実施時期:2022年4月22日~4月23日
※回答結果はパーセント表示を行っており、小数点以下第2位を四捨五入して算出しているため、各回答の合計が100%にならない場合があります。
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