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事業承継

四世代家族の食卓に、家族Lineに
「唯一無二のかまぼこ屋」への愛が溢れる

株式会社鈴廣蒲鉾本店 企画チーム常務取締役 本部長 鈴木智博 氏
型染め作家 鈴木結美子 氏

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創業156年。老舗の鈴廣かまぼこは、正月用食材のイメージが強かったかまぼこを日常の食卓にのせ、観光みやげにするなど市場拡大の努力を続けてきた。11代目を継ぐ、社長見習いの鈴木智博氏は、新しい市場として若者をターゲットにした高たんぱく質食品としての開発を進めている。姉であり、型染め作家の鈴木結美子氏は、商品パッケージのデザインなど、鈴廣のブランドイメージを統一することで、老舗の伝統を守っている。この二人がタッグを組んだ「フィッシュプロテインバー」誕生や老舗企業の現在の話を伺った。

 

家族がそろうと“かまぼこ”談義
祖母である会長の意見に助けられる

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祖母の鈴木智恵子会長を筆頭に、父である鈴木博晶社長や智博氏の姉妹も巻き込んで、毎日かまぼこの話ばかりしているという鈴木家。

 

智博:「こういう商品を売っていたよとか、うちもこうしたらいいのにとか、家族LINEで情報が大量に飛びかいますね」


結美子:「この包装がすてきだったとか、店に行ったらここが汚れていたとかもね」


智博:「勤め始めた妹も含めて、自分の足りない視点を補ってもらえるのはありがたいですね。なぜか米国にいる姉がまとめ役なんですけど」


結美子:「幼いころ、家族の夕食時に会社にいる父から仕事のことを書いたレターがFAXで送られてきて、それをみんなで読んでいましたね」

 

智博:「毎日の弁当には必ずかまぼこ。サンドイッチの具もアボカドとかまぼこ」


結美子:「お弁当にかまぼこしか入ってないこともありました。ご飯を冷ましてて入れるのを忘れちゃったという(笑)」


智博:「最近、会長から昔の話などの聞き書きを始めたのですが、面白いんですよこれが」


結美子:「今もダントツのベストセラー商品が、60年前に祖母が作った『あげかま』なのです。製品の形も包装紙もずっと変わっていません。そういうことが一番うれしいですね」


智博:「会長が一番、アイデアが豊富。商品の相談をすると、ポロっといいことを言ってくれるんです」

新しいかまぼこ市場の創造を目指して
「フィッシュプロテインバー」を開発

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智博氏が新しいかまぼこ市場を作ろうと今年発表した新商品が、「フィッシュプロテインバー」だ。この開発には、サッカー日本代表の長友佑都氏が加わっていて、クラウドファンディングMakuakeでこの6月から販売を始めた。

 

智博:「小さいころからサッカーをやっていたので、長友選手が食を意識して体を作るために、魚を中心とした食生活を送っていると知っていました。ですから帰国した時につてをたどって、かまぼこを食べていただいたんです」

 

試合後の疲れた体にものど越しの良いかまぼこなら、良質のたんぱく質がしっかりとれると長友選手に好評だった。

 

智博:「そこで、4月に『魚肉たんぱく同盟』を結成し、一緒に魚肉たんぱく質の可能性を探り、その魅力を伝える活動と商品開発をしていくことになりました」

 

 

かまぼこは、1本に約7匹の魚が使われているという高たんぱくでヘルシーな食品だ。鈴廣のかまぼこは化学調味料、保存料不使用なので、加工品のプロテインとは違って体のためにも良いたんぱく質が摂取できる。

 

智博:「長友選手の専属シェフと試作を重ね、たこのガリシア風、アクアパッツア、ホタテのグラタンの3つの味の『フィッシュプロテインバー』を作りました。かまぼこが、おいしくて、簡単に良質なたんぱく質を摂取できるスーパーフードなのだということを少しでも知ってもらえたらうれしいです」

 

 

この「フィッシュプロテインバー」のパッケージをデザインしたのは、結美子氏だ。と同時に一般流通している「小田原っ子」の期間限定デザインも手掛けた。

 

結美子:「普段、プロテインを飲んでいる方は無機的なデザインを見慣れていると仮定しました。一方、鈴廣のデザインは和のテイストで、これが好きな層もいる。そこで今回は、無機的であり有機的であることを心掛けてデザインすることにしました」

 

長友選手の顔、筋肉や躍動感を鈴廣流に描きなおして、入れこんだデザインが完成した。一方、普段使いの「小田原っ子」のパッケージには長友選手の顔写真を入れたデザインにした。

 

結美子:「この商品は流通が多いことも考慮して、初挑戦でしたが切り絵でなく、長友選手の写真を使いました。せっかく認知度が高い肖像を使わせていただける機会ですからね」

 

いつか自分の力で奪い取るのが社長の座
だから、かまぼこ市場の新市場を創る

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鈴廣かまぼこという大きな看板を11代目として、いつ引き継ぐのだろうか。

 

智博:「今すぐにでも継ぎたいという気持ちで、毎日仕事に取り組んでいます。父からは、『親父は邪魔だから黙っていろという領域が広がらないとダメだ。そうやって奪いに来い』と言われていますし、その通りだと思います。全ては、自分次第ですね」


結美子:「社長という立場になれば、きっと頑張れると思いますよ」


智博:「小さいころから周りの大人たちから、“お前が後継ぎだ”と言われていました。だから『継ぐのか?継げるのか?おれ』と思いながら、じわりじわりと意識が変わってきました」

 

 

会長の祖母は消費者としての感覚を誰よりも大事にして、商品開発や接客をする感性が並外れている。父である社長は、工場の技術や生産効率、製品の質や安全性を高めたり、世界中で原料を確保するという、表には見えにくいが、大事な今の土台を築いてくれた。

 

結美子:「みな、かまぼこや会社に対して思っていることは同じなのですが、持っている得意技が違うのです」


智博:「だから、それぞれの良いところを盗んでいきたい。姉にもブランディングなどで私の足りない部分をいつも勉強させてもらっています。自分が考えついたことを相談すると、兄妹みんなでそれを整理してくれるから、改めて気が付くこともあり、ありがたいですね」


結美子:「みんな、なんらかの形で家業に関わりたいし、応援したいんですよ」


智博:「鈴廣ブランドの信頼が高いお陰で、仕事がやりやすいのは事実です。父も『今のうちにたくさんチャレンジしておけ』と言ってくれますし。だから、全く新しいかまぼこの市場を自分が開拓して、もう一つのビジネスの柱を立てたいとワクワクしています」

 

 

経営者になるための財務の勉強などは、担当役員が直々に勉強会を開いてくれ、教えてもらっている。だが、いくら教わっても、自分なりの課題感があるのは否めない。

 

智博:「愛社精神のある社員がすごく多いのは、わが社の自慢です。その中から、自分の右腕左腕を担ってくれるような社員を早く見つけて一緒に成長していきたいんです」


結美子:「私たちには、そこは手伝えない。ともちゃん、ともちゃんって言ってくれる古い時代からの社員さんも大事です」


智博:「その会社経営は、私がしっかり、やり切らなくちゃいけないと思っています」

老舗の文化と進取の気質を併せ持ち
かまぼこ製造でSDGsを実現する

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鈴廣かまぼこの社是である「老舗にあって老舗にあらず」というメッセージには、相反するふたつのメッセージが込められている。どんな時代になっても変えてはならないことは、頑固に守るが、変えなくてはならないことは勇気をもって変えるという決心を表しているのだという。

 

智博:「うちの会社って、正反対の言葉をよく使うんです。『凛として優しいデザイン』とかね。そこには、判断基準の軸が何かしらあるんですが、その軸自体は時代によって変えていいんだと理解しています。この軸を明文化していけるチャンスがあるうちの会社って、面白いし、かなり自由度の高い会社なんだと最近、気が付きましたね」


結美子:「鈴廣のデザインに関していうと、昔のままだということが、大きな魅力だと思います。今見てもかっこいいと思えるものを50年も前に完成させてしまっている。だからこそ私は、そのエッセンスを保ちながらも、未来から見ても恥ずかしくないようなデザインにしていきたい。未来の人にも何かしら、学びや発見のあるデザインを考えるのが私にとっての社是を守るってことかもしれません」

 

 

SDGsという言葉ができる以前から環境には当たり前に配慮する文化があったし、社員教育にも力を入れてきた。

 

智博:「かまぼこを作るときに出る魚のアラを肥料にしたり、水を再利用したり、この建物も間伐材できているし、地下水からの冷房を使ってエネルギーを節約しています」


結美子:「昔から、うちでは節電、節水は当たり前なんです。それを声高に言わなくてもいいのではという気持ちもあったんです」


智博:「かまぼこって天然の魚も水もエネルギーもたくさん使うので、その活動をさせてもらうからには、自然環境も健やかにする会社でありたいと思います。そういう考え方を社員全員が同じように本気で思って製品を作ったり、売ったりできたらと思います」

 

結美子:「かまぼこで良質なたんぱく質がとれるとか、鈴廣がサスティナブルな生産活動をずっとしてきていることを、もっと自信をもって発信していきたいと考えています。せっかく時代の流れが、来ているので」


智博:「あらゆる意味で唯一無二のかまぼこ屋になりたいんです。お客さまも社員も、それこそ世界中の人々が魚肉たんぱくを口にすることで心身ともに健やかになってほしい。それを本気で狙ってやっていきます」

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