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事業承継

商店街と共に100年続く伝統菓子屋になり
沖縄の伝統文化を次世代に伝えたい
外間製菓 代表 外間 有里氏

  • 女性経営者
  • 後継者

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外間製菓は、戦後三代に渡り、沖縄の郷土菓子を那覇の公設市場で作り、販売してきた。代表の外間有里氏は、商店街の活性化と沖縄の食文化を次世代に継承したいという思いから、市会議員に立候補して当選を果たした。商店街の人々、従業員、那覇おこし協力隊のメンバー、同級生をさまざまなプロジェクトに巻き込み、沖縄が誇るべき文化を途絶えさせまい、商店街に昔の活気を取り戻したいと精力的に活動する、その背景を伺った。

自分の代になってから、顧客管理を導入
長期的リピートにつながる導線を発見

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沖縄の郷土菓子は、うちなんちゅー※独自の祭事やハレの日の行事に欠かせないもの。そこには祖先を敬い、吉日を祝うという沖縄文化の誇るべき好ましい風習があり、世代を超えて大切に伝えられてきた。

「店頭に立っていると、地域や親族とのつながりが希薄になってきたために、行事ごとやその意味を知らなかったり、お供えの仕方がわからないという若いお母さんが増えているのがよくわかりました。伝統行事が形骸化しているのです」

(※沖縄の言葉で沖縄の人のこと)


2018年東京で新規事業立ち上げやマーケティング、ブランディングを学んだ外間氏は、那覇に戻り、家業を手伝い始めた。

「伝統文化を残し、伝える意味でも外間製菓がやるべきことは、まだまだあると思いました。市場で69年続いている伝統菓子の老舗として、商店街の活性化も急務でした」


製造現場で働く祖父と父は、需要が見込めない将来を憂い、無理に店を存続させなくてもよいと考えていた。

「親心だったと思いますが、私は観光客を対象にしたり、ネット販売するなど、マーケットを広げれば、まだまだ可能性はあると提案しました。それに賛同してくれて、家族が一緒に動いてくれました」


2019年、3人姉妹の長女である外間氏が事業を承継し、代表となった。

「まず店を改装して、イートインスペースを作りました。そこで郷土菓子を説明しながら、子どもが自分で作る菓子教室を始めました」

沖縄の伝統文化を伝える窓口を作ることで、行事が続いていくきっかけづくりにしたかった。


代表となって大きく変えたことがある。それは店頭に立つスタッフだ。

「年齢層が高かったスタッフは製造担当に異動してもらい、新しい顧客対応に挑戦できる布陣に入れ替えました。スタッフ全員に、会社の向かうべき方向や、なぜそうするかをきちんと話したうえで、適材適所の人員配置なのだと説きました」


古くからのスタッフへの説明には、祖父も父も力を貸してくれた。そこも家族経営の良さで、半年の時間をかけてスタッフとのコミュニケーションを取りなおしていった。

「その後、今までしてこなかった顧客管理をすることで、お客さまをより理解できるようになり客層が広がりました。短期的な回収ではなく、長期的なリピートにつながる導線も見えてきました」


沖縄の伝統的な食文化を
SNSや動画で若い人にも発信

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そのなかで痛感したのは、対面販売のメリットだった。

「これは地域性としても、絶対に残していく必要があると思いました。相対売りと呼ぶのですが、沖縄ではちょっとおまけをつけたり、新しい商品を食べてもらったりというやり取りが、常連さんをつないでいく独特の文化なんです。これは守り続けたいですね」


昔は、公設市場を中心とする地元民の買い物ルートがあり、そういう毎日の住民同士の触れ合いを通じて伝統が守られてきた。

「自分の店の利益を追求するだけではなく、周辺の店や商店街エリアとしての需要が高まるような活性化を目指しています」


再開発を含めたこの地域の現状を広く知ってほしい、そのためのアイデアを発表したいと2020年の「スタ★アトピッチ沖縄特別大会」に参加し、優勝した。

「商店街の2階の空きスペースを活用して、県外の料理人を招いて新しい沖縄の食品開発をしたり、ここで地元の食材を使った料理を食べてもらって、沖縄の食文化を理解する場所づくりをしたいと提案しました」


この動きは地元の人たちから「とても勇気づけられた」と好意的に言ってもらうことができた。

「地域を背負うつもりで出たので、認められてよかったですね。沖縄の食文化を文化遺産登録をしてもらおうと動いています。もっともっと裾野をひろげていきたいです」


お菓子を買ってもらうだけではなく、沖縄の伝統である独自の食文化を後世につないでいきたい。

「今は、リアルイベントをするのが難しいので、例えばお盆の時期になったら、お供えの作り方をSNSや動画で発信するなどにチャレンジしています」


商売人の目線で議会を改革し
地域の活性化に本気で取り組む

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外間製菓の代表、地域商店街活性化のリーダーとして、多忙を極めていたが、今度は市議会議員に立候補した。

「三代続くお菓子屋として地域の人に支えてもらって、ここまで来られたという意識を強く持っています。だから地域の活性化に本気で取り組みたいのです。そのためには、商売人の目線で議会改革をしなくてはと思いました」


このコロナ禍に商店街の現状を見ようと市場に足を運んでくれる議員は少なかった。

「これからの時代にあった行政改革をしたいのです。それには若い声が必要だと思います。実際に商売もしている、私の現場の声を届けることが、地域の方々や若い人、女性に賛同していただけたのならうれしいです」


外間製菓が商店街にあり続けることが大切なのと同様、自分の事務所も商店街に置き、地域活性化のハブにするつもりだ。

「商店街や地域の実態を肌で感じている私だからできることがあるはずです。何かを変えるためには地域に根差していないと何も始まりません」


今回の選挙では、地元の商店街の方々や同級生や先輩にとてもお世話になった。

「多くの同世代のメンバーが動いてくれたのが、大きな力になりました。いろいろな人から助言をいただいたことで、客観的に物事を考えられましたが、その考えを伝える壁に直面しています」


自分が思っていることを10伝えても、2割くらいしか伝わらず動いていかないもどかしさを感じることもある。

「チームビルディングって本当にむずかしいと実感しています」

世界に住むうちなんちゅーに
伝統菓子を届けたい

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もうひとつ取り組みたい課題がある。
沖縄の高齢者は長く働き続ける人が多いので、事業承継が遅れがちだ。そのために廃業する家業も多く、社会問題となっている。
「もっともっと事業承継を押し進めていくことも私の公約です。創業支援もしていきたい。家業って今までのリソースを使えるという意味でとても魅力的なビジネスチャンスなんだということを知ってほしいですね」


家族の仕事を継ぐ場合も、新しいことを始める場合でも先代たちの財産を受け継いで、次に発展させられるメリットは大きいという。

「今は大きく社会が変化しているので、これだけが正しいという明確な答えはないと思います。大切なのは、承継する人の思いやゴールイメージ。まずは挑戦してから考えてもいいと思います」


事業承継後は、代表であった父に相談することが増えた。
「今まで一人で問題に対峙してきた父でした。私は、父という相談相手が近くにいてくれてよかったなあと思います」 お菓子屋にとどまらず、もっといろいろなことをやってみては?と選挙の時も後押ししてくれた。


これからは、地域に目を向けながら、世界に住むうちなんちゅーに伝統菓子を届けるという大きな夢にも向かっていく。

「承継のタイミングで自分の家の事業を見つめなおすことができたことで、生まれたのが100年続く伝統菓子屋でありたいという目標です。商店街から世界へと沖縄文化を伝え続けていきます」


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