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生活習慣を改めれば予防できる!

脳卒中・急性心筋梗塞のリスクに向き合おう!

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脳卒中と心筋梗塞は死に至る恐ろしい病いですが、ともに動脈硬化系疾患であり、生活習慣病ともいえるものです。近年、診断法や治療法は格段に進歩しており、予防医学も進んでいます。生活習慣を見直したり、早い段階で治療を始めれば、進行を遅らせ、重篤な症状に陥ることを防ぐことができます。

1 日本人の死因で上位を占める脳卒中と心筋梗塞

現在、日本人の死因は、がん、心疾患、脳卒中(脳血管疾患)の順になっています。また、厚生労働省の「平成29年患者調査」によると、脳血管疾患の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は111万5,000人、心疾患(高血圧性のものを除く)は173万2,000人です。

かつて、脳卒中は長らく日本人の死因のトップを占めていました。脳卒中による死亡が減ってきた理由の一つは、CT(断層撮影)やMRI(脳実質撮影)による頭部の画像診断が可能になり手術の精度が上がったことと、もう一つは家庭用の血圧計が普及して血圧を中心とした予防医学が行き届いてきたことが挙げられます。

しかし、脳血管疾患はたとえ命が助かったとしても半身マヒや言語障害、認知症などの後遺症をもたらすケースが非常に多く、また高い率で再発します。依然として恐ろしい病気であることに変わりはありません。

2 脳卒中、心筋梗塞はこうして起こる

▶脳卒中の要因

脳卒中とは、脳の血管に何らかの異常や障害が起きて血流が滞り、脳の機能が壊れてしまうことです。そのうち、血管が破れて脳内に血液があふれ出すことを「脳出血(脳溢血)」といい、血管が細くなったり、血栓(血のかたまり)によって詰まることを「脳梗塞」と呼びます。よく耳にする「くも膜下出血」は脳出血の一種ですが、こちらは脳の表面で起こり脳内に出血することはありません。

かつて脳卒中で死亡する人の大部分は脳出血でしたが、現在は脳梗塞のほうが多くなっています。

脳梗塞の症状は、脳のどの部位で起きたかによって異なります。たとえば、大脳に起こると、「手足がしびれて動かせない」という運動麻痺や「 れつ がまわりにくくなる」言語障害が現れ、脳幹や小脳だと「ものが二重に見えたり、顔がしびれる」といった視覚障害、感覚障害が起こります。

脳梗塞は日々の生活の中で少しずつ進行していくもので、早期発見、早期治療が重要です。脳梗塞の かん 率に男女の差はほとんどなく、年代別では60代、70代が患者数のピークですが、初期の小さな梗塞は、実は50代以降の多くの人がもっています。

脳梗塞にはいくつか種類がありますが、症例の半数近くを占めるのが、脳の奥深くにある細い動脈が詰まる『ラクナ梗塞』です。ラクナ梗塞の初期段階では、数ミリ程度の小さな梗塞が2~3個現れるだけで、自覚症状はほとんどありませんが、それが次第に脳内のあちこちに広がり、重篤な症状を起こすようになっていきます。

そのため、私はそれを“隠れ脳梗塞”と名付けて注意を促してきました。実際、隠れ脳梗塞などの軽い発作が見つかった人の約3割が、5年以内に脳梗塞の発作を起こすというデータもあります。

隠れ脳梗塞を自覚することは難しいのですが、簡単な動作などで自己チェックすることができます(表参照)。もし、思い当たる節がいくつかあれば、定期的な検診を受けてください。

▶心筋梗塞の要因

一方、心筋梗塞は心臓のポンプ機能を担う心筋に血液を送る冠動脈が血栓でふさがり、血液の流れが途絶えてしまう状態です。また、血管が動脈硬化や血栓などによって異常収縮し、血管の内腔が狭くなることで起こるのが「狭心症」です。

ともに激しい胸の痛みや息苦しさという症状があります。狭心症は、血流が改善すると症状は治まりますが、心筋梗塞は自然に解消することはなく、心臓の機能がどんどん衰えて死に至ります。治療法が進歩しているにもかかわらず、いまも発症した人のうち約30%の方が亡くなっています。前触れなく突然起こることから急性心筋梗塞と呼ばれることもあります。

▶最大の敵は「動脈硬化症」

脳卒中と心筋梗塞の最大の敵は動脈硬化症です。動脈硬化は血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)などが血管壁にたまることから始まります。それが進むと、じゅくじゅくとしたこぶ状の脂肪のかたまり(プラーク)が発生し、プラークが破綻することで血栓ができます。この血栓が血管を閉塞して脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまうことが多いのです。

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3 脳卒中、心筋梗塞を未然に防ぐには

▶脳梗塞の予防法

脳梗塞のリスクを減らすには、日常生活でどんなことに気をつければいいのでしょうか。

すべての病気にいえることですが、「バランスのとれた食事」「適度な運動」「質のいい睡眠」など、生活習慣を健全に保つことが基本です。

脳梗塞につながりやすい高血圧、糖尿病、高脂血症にならないよう、食事は脂肪分や糖分の多いものは控えめにし、青魚や繊維質が多く含まれる野菜を多めに摂りましょう。

運動は、軽く汗ばむ程度が目安です。有酸素運動を心がけ、息が上がるような激しい運動はストレスとなって逆効果です。40~50代は、軽いジョギングやサイクリングを1日30~40分程度。60代は、ゆっくり1時間散歩するくらいで十分です。毎日は難しくとも、3日に一度など、自分のペースで定期的に継続してください。

脳梗塞は夏に多く発症します。気温が高くなると、体内の熱を発散しようと血管が拡張して血圧が下がり、血流が滞りがちになります。さらに汗をかくことで水分が不足し、循環血液量が減少して血液が濃くなり、血管が詰まりやすくなるのです。1日で15度以上の気温差が出る晴れた日は特に要注意です。そのため、夏はこまめに水分補給をすることが大切です。

また、長年患者さんと接するなかで、どういう人が脳梗塞になりにくく、なったとしても回復が早いかを注視してきた結果、調理人のように普段から手先を動かす人はなりにくく、頭を使う人もなりにくく回復も早いことに気がつきました。その意味で、ゲームをしたりパズルを解いたりする習慣をもつことは脳梗塞の予防に有効です。

自覚症状はなくても不安を感じる方は、頭部のMRIやMRA(脳血管撮影)、頸部のエコー、心電図などによる脳ドック検査を受けてください。それによって小さな梗塞が発見されるケースは少なくありません。

▶狭心症・心筋梗塞の予防法

狭心症・心筋梗塞の危険因子としては、塩分・糖質過多、脂肪分過多が挙げられます。塩分・糖質過多は血液中の塩分が多くなると、血圧が上がる一因になります。炭水化物などの糖質は、過剰に摂取すると血液中に中性脂肪を増やし、脂質異常症や糖尿病の原因となります。また脂肪分過多は血中にLDLコレステロールが増えて、動脈硬化が促進されます。

心筋梗塞を防ぐ食生活の改善策は、やはり塩分や脂肪分、糖質を控えめにして、野菜や魚介類中心の食事を摂ることが中心になります。それによって、血圧や血液中のLDLコレステロール、中性脂肪が減少し、動脈硬化や生活習慣病を予防できます。

また、魚に含まれるDHAやEPAの栄養成分には、血栓ができることを防ぐ効果があります。

運動不足で筋肉量が減ると基礎代謝が悪くなり、太りやすく、内臓脂肪もつきやすくなるため適度な運動も必要です。

▶普段の自分の血圧を知っておこう!

たとえば、口の周りや手のしびれ、足が少しふらつくという場合、必ずしも脳梗塞が原因とは限りません。こうした症状が現れたときは、まず血圧を測ってみてください。小さな脳梗塞や脳出血を起こすと一時的に血圧が高くなります。血圧は毎日測らなくてもかまいませんが、普段の自分の血圧を理解しておくことが必要です。

そのとき、あわてて血圧を下げる薬を飲むことが正しい治療法とは限りません。体に異変や異常を感じたら、まずは、かかりつけ医で診察を受けましょう。

医学博士 眞田 祥一 (さなだ しょういち) 著 者
眞田 祥一 (さなだ しょういち)
医学博士
1944年東京生まれ
東京慈恵会医科大学および大学院を卒業後、同大講師を務める。77年大森赤十字病院脳神経外科部長就任。国際赤十字カンボジア難民救済医療活動医として出向。その後、中国のタクラマカン砂漠でも医療活動を行なう。96年眞田クリニック開業。脳ドックなど先端医療を精力的に導入するかたわら、脳梗塞、認知症、神経難病に関する記事を多数執筆。著書に『自分で見つけて治す隠れ脳梗塞』など。

この記事は、エヌエヌ生命プレミアレポート2019年8月号からの転載です。 この記事に記載されている法令や制度などは2019年7月作成時のものです。
法令・通達等の公表により、将来的には制度の内容が変更となる場合がありますのでご注意ください。

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