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中小企業(課税事業者)必見!

インボイスで「どうなる?」「何をする?」

  • 専門家に聞く

この記事は8分で読めます

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1 インボイス制度で押さえておくべきこと

2023年10月のインボイス導入が近づいてきたことで、「どうもえらいことになるらしい」 「何か対策しないといけないのでは」と、報道などを目にしてお考えの方も多いかもしれません。
が、制度の良し悪しは抜きにして、インボイスの影響を多大に受けるのは免税事業者(年間売上1,000万円以下の小さな会社や個人事業主など)です。


近い分野の改正が続き、混同しやすいのですが、

  • 2019年10月から導入された軽減税率
  • 2022年1月から導入される電子帳簿保存法

と、2023年10月から導入されるインボイスにはそれぞれ違いがあり、当記事で解説するインボイスそのものは、世の中の多くの中小企業にとって「手間が増えて面倒になる」とはいえても、経営に甚大な影響を及ぼす、といった類のものではありません。


結局のところ、重要なのは、

  • どんな制度になるのか?
  • うちの会社は何をしたらいいのか?

です(図表1)。この2点に絞って、課税事業者(消費税を税務署へ納めている会社・個人)向けに解説します。

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2 インボイスが導入されるとどうなる?

まずインボイスの影響をひと言で表すとすると、2023年10月以降、請求書が変わるということができます。 どんなふうに変わるのか、国税庁が公表している資料を引用します(図表2)。

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変更箇所をざっくりと挙げると、以下のようになります。

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このほか、いままでも載せていたであろう、次の項目も引き続き請求書への記載が必要です。

  • 自社名
  • 取引年月日
  • 取引の内容
  • 8%(軽減税率対象)の商品があるときは、それがわかるように
  • 書類を受け取る側の事業者の名前(BtoCのビジネスなど省略できる場合もあり)

つまり、「請求書に記載する項目が増える」というのが変更点です。

  • なお、インボイス制度で「請求書等」という用語が使われますが、この「等」には「領収書やレシート」も含まれます。

3 インボイスが導入されたとき、何をすればいい?

この変更点を踏まえたうえで、「うちの会社は何をしたらいい?」というのが気になる点でしょう。 請求書・領収書というものは、事業をしている中小企業にとって、「自社が発行する(出す)もの」と「自社が受け取る(もらう)もの」と2種類があります(図表3)。

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それぞれの立場に分けて解説していきます。

(1) 自社発行①:届出が必要

「自社が発行する請求書」に関して、まず必要なのが「申請書を税務署に提出すること」です。 この申請書、正確には「適格請求書発行事業者の登録申請書」といいます。


「適格請求書」というのが、「インボイス」の正式名称です。 それを発行できる事業者、つまり課税事業者(消費税を税務署へ納めている会社・個人)で、この申請書を提出した事業者が「適格請求書発行事業者」に該当します。


すでに様式も公開されていますので、国税庁のURLもご紹介しておきます。 紙で提出することもできるし、電子申請(e-Tax)でも提出ができるようになる予定です。


国税庁/申請手続(申請等様式) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_shinei


申請書には、 住所/会社名/代表者氏名/法人番号/提出日現在、課税事業者か免税事業者か を記載するだけですので、まったく難しいものではありません。 こちらを、2021年10月1日~2023年3月31日を目安に提出することになります。


この申請書を提出すると、上にも書いた「登録番号」という番号が通知されます。 これを2023年10月以降、請求書に載せるだけでOKです。 (法人の場合、法人番号の頭に「T」がつくだけなので予想もできるのですが)


なお、申請書に関連する項目のうち、

  • 住所
  • 会社名(氏名)
  • 登録番号と登録年月日

については、国税庁のWebサイトで公開されます。 (個人事業主については、別途公表の申し出をしない場合には住所は公開されません)


(2) 自社発行②:請求書を変える
申請書を提出したら、あとは「自社が発行する請求書を、2023年10月1日以降実際に変更するだけ」といえます。


このとき、なんらかのソフト・サービスを利用して請求書を発行している会社は、おそらく上記の「登録番号」を設定すること以外、ほぼ特にすることもないでしょう。 まともなソフト会社であれば、法に則った様式に請求書をあわせてくれるはずです。 (もちろん、請求するときに消費税率の設定を間違えては元も子もありませんが、それは現行と変わりません)


ただ、次のような会社の場合は注意が必要です。

  • 自社でExcelなどを使って請求書を発行している
  • 自社で独自のシステムを構築して請求書を発行している

これらの会社は、上でご紹介したような、登録番号や税率ごとの消費税額を明記した様式に変更しなければなりません。

インボイスについては、法に則っていない場合に取引先が「修正してくれ」と要求することができ、またその修正に応じることが義務として定められていますので、くれぐれも注意しましょう。 (取引先への立替金が発生する会社も少々面倒な手続きが必要になりますが、ページ数の関係で割愛します)


(3) 自社受取①:請求書をチェックする
次は「自社が出す側」ではなく、「自社がもらう側」の話です。 2023年10月からは、正しく記載された請求書等でないと仕入税額控除を受けられない(税務署へ消費税を納めるとき、支払った消費税を引くことができない)ことになります。

また、記載内容が間違っていた場合、受け取った自社で修正することは許されず、必ず発行した取引先に修正をしてもらうことが必要です。 (取引先には、修正に応じることが法律で義務づけられています)


そのため、2023年10月以降は、次のようなひと手間が必要になります。

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では、実務的にどこをチェックすればよいのかというと、

  • 登録番号があるか
  • 8% or 10%と、税率ごとに消費税額が記載されているか

というのが主な項目になるのではないかと考えます。


経理的には、ときどき、「これ消費税かかっているのか?」と処理に不安をおぼえる請求がありますので、ある意味ではこれが明確化されて処理がしやすくなる、というよい点もあります。 (ただし、電車代や自販機など、請求書を発行しなくてもよい取引も一部あります)


(4) 自社受取②:相手が免税事業者のときは注意
ある意味、これが一番面倒な点といえます。

上で「登録番号があるかをチェックする」という項目を入れたのは、2023年10月以降、免税事業者が消費税を請求できなくなるためです。(これが、冒頭で「インボイスの影響を多大に受けるのは免税事業者」と書いた理由です)


実務的には、請求書をもらった場合、大まかには以下の順序でチェックするとよいでしょう(図表4)。

    1. 消費税があるかないか
    2. 消費税が請求されている場合、登録番号があるかないか

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(5) 消費税が請求されていない場合
たとえば社宅の家賃など、そもそも消費税がかかっていない取引では消費税の記載の必要がなく、いわゆるインボイスに対応する必要はありません(駐車場代を別途取るなど、一部でも消費税がかかる取引をしている場合は必要です)。


また、免税事業者が、2023年10月以降の改正を知って、消費税を請求しなくなっているのであれば、これも問題ありません(ただし、自社では別途やることがあるため、項目(8)で説明します)。


(6) 消費税が請求されていて、登録番号が記載されている場合
消費税が請求されているが、同時に登録番号が記載されているのであれば、これも問題ありません。処理もこれまでどおりです。


実際には、免税事業者が適当な登録番号を偽造して記載していたらどうするのかという問題はありますが、すべての登録番号に対して実際に税務署に登録されているか確認しろというのはあまりにも現実的ではなく、取引先の偽造の責任まで求められるのは少々考えにくいのではないか、というのが筆者の私見です(まったくの第三者を前提としており、「偽造を知っていた」などであれば別です)。

ただ、電子インボイスが発展してくれば、自動で登録番号が正しいものか検証してくれるようなシステムは出てくるものと考えられます。


(7) 消費税が請求されているが、登録番号が記載されていない場合
この場合には先方に確認が必要です。

登録番号がないケースとして、大きくは以下のものが考えられます。


(A)登録番号を取得しているが、単純に記載を忘れていた

(B)登録番号を取得していない


(A)であれば、請求書を修正してもらい、登録番号を記載してもらえばOKです。
(請求書の修正は必ず要請しましょう)


(B)であれば、その取引先は消費税を請求することができません
請求書を修正して消費税を削除してもらい、請求金額が変わることとなります。


(8) 免税事業者へ支払ったときの会計ソフトの設定
これがまた厄介な点ですが、「免税事業者は消費税を請求できなくなる」で終わりではなく、「免税事業者は消費税を請求できなくなるが、お金を支払ったほうがいきなり消費税を差し引けなくなると影響が大きいので、段階的に影響を小さくしていく」という経過措置が設けられています。


具体的には、図表5のように、

  • 免税事業者との取引の消費税が年間100万円あった場合
  • それを差し引ける金額が100万円→80万円→50万円→0円、と時間とともに下がっていく


といったイメージです(2023年10月1日から3年間隔で割合が減少していきます)。

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実務的には、


  • 消費税のかかる取引で
  • 相手が免税事業者だった場合に


会計ソフトへ入力する際、たとえば「免税事業者からの課税仕入」といったようなこれまでなかった設定を別途しておくことが必要になると考えられます。(通常の会計ソフトであれば、専用の設定が設けられるはずです)


特に経理部門については手間が増えてしまいますが、どんな影響があるのか、自社は何をすべきかを的確に把握して、対応していきましょう。

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【著者】

谷口 孔陛(たにぐち こうへい)

谷口孔陛税理士事務所・合同会社MGNコンサルティング代表
1985年生まれ。2016年に31歳で独立。
独立当初よりブログを更新し、専門用語に頼らない噛み砕いた説明に強みを持つ。図解が好き。著書に『今すぐ使える! 税理士業務効率アップのためのITツール活用術』(第一法規)、『消費税 軽減税率のキホン100問100答』(大蔵財務協会)、『できる税理士は知っている これならうまくいくクラウド会計』(第一法規)がある。

この記事に記載されている法令や制度などは2021年7月時点のものです。
法令・通達等の公表により、将来的には制度の内容が変更となる場合がありますのでご注意ください。


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