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「男性の育休取得促進」を目的に2022年施行!

改正育児・介護休業法の対応ガイド

  • 税制・財務
  • 専門家に聞く

この記事は5分で読めます

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我が国では少子高齢化に伴う労働力人口の減少が問題になっています。出産・育児による労働者の離職を防ぎ、子育てをしやすい環境を整えるためには、女性労働者のみならず、男性労働者の仕事と育児の両立支援が必須との考えにより、2019年6月に育児・介護休業法が改正になりました。

同法はこれまでもたびたび改正になっていますが、今回の改正目的は、ずばり、男性の育児休業取得促進です。そのため、①業務と調整がしやすい柔軟で利用しやすい制度とすること(2022年10月1日施行)、②(男性労働者も)育児休業の申出がしやすい雇用環境等の整備を進めること(2022年4月1日施行)が改正法の2本柱となっています。

以下、具体的に改正法の内容と会社がやるべきことを見ていきましょう(図表1)。

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1 <2022年4月1日施行> 育児休業等を取得しやすい環境整備等

2022年4月1日施行の改正法は、育児休業の制度自体の社内周知と、対象労働者に対する個別の制度周知と意向確認を制度化することを目的としています(図表2)。

これらのほか、同日施行で、雇用期間に定めのある労働者に対する育児(介護)休業の取得要件の緩和がなされます。ただし、改正後も「引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は育児休業の申出を拒むことができる」と労使協定を締結している場合は、雇用期間の定めの有無に関わらず、会社は入社1年未満の労働者からの育児休業の取得申出を拒むことができるため、実務上の影響はありません。

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【会社がとるべき対応】

会社としてやるべきことは、研修や相談窓口および個別の制度説明の担当者となる人事・総務担当者に対し、育児休業に関する制度全般(改正法の内容を含む)について正確に把握させることです。厚生労働省のHPには改正法の解説動画も準備されていますので、活用するとよいでしょう。

2 <2022年10月1日施行> 柔軟で利用がしやすい制度改定

2022年10月1日施行の改正法は、産後パパ育休の創設、育児休業の分割取得の導入、それに伴う、育児休業期間に対する育児休業給付および社会保険料免除のルール変更など、実務上の影響が大きい制度改正があります。従前の制度との相違を中心に解説します。

(1)産後パパ育休の創設

男性労働者は配偶者の出産後8週間以内に4週間まで、1歳までの育児休業とは別に、産後パパ育休を取得することができるようになります。改正前のパパ休暇との違いは、産後パパ育休は、2回に分割して取得できること、労使協定を締結することで、労働者が合意する範囲内で休業中に就業することが可能なことです(図表3図表4)。

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(2)育児休業の分割取得・休業開始日の柔軟化

子の出生から8週間経過後、子が1歳になるまでの期間について、育児休業を2回に分割して取得することが可能になります(男女ともに)。さらに保育所に入所できない等の理由で1歳を超えて1歳6か月までの育児休業、1歳6か月を超えて2歳までの育児休業について期間の途中で配偶者として交代して育児休業を取得することが可能になります(図表5)。

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(3)雇用保険育児休業給付のルールの見直し

育児休業を取得する労働者は、出生時育児休業給付金および育児休業給付金を受給することが可能です。法改正後は分割取得に対応したものになります。

(4)育児休業期間に対する社会保険料免除のルールの見直し

育児休業期間中(産後パパ育休も同じ)の月例給与にかかる社会保険料は、同月内休業の場合は、14日以上(産後パパ休業は就労日を除いた日数)休業している場合のみが免除対象となります(図表6)。複数月休業の場合は従前と同じルールです(月末に休業している月が免除対象月)。

賞与にかかる社会保険料は、賞与支給月が社会保険料免除対象月であり、かつ休業が1か月以上である場合のみ免除対象となります。

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【会社がとるべき対応】

図表5に示したように、産後パパ育休および分割取得等の導入により、育児休業者の休業と復職が繰り返される可能性が生じ、管理が明らかに煩雑になります。育児休業給付金や社会保険料免除の手続き等の漏れがないように休業者の管理の仕組みを構築しましょう。

また休業の取り方によって社会保険料の免除が受けられる場合と受けられない場合があります(従前とルール変更あり)。社会保険料の免除は労働者負担のみならず会社負担も対象になりますので、事前に十分な確認が必要です。

改正法が目的とする対象労働者の「より柔軟な休業取得」は、場合によっては同じ職場の他の労働者に負担がかかるケースも想定されます。会社は休業対象者ではない労働者も気持ちよく働くことができるよう業務分担や人材配置を整える必要があります。

休業取得を希望する労働者に対しては、事前の面談の際に、具体的な取得時期をできるだけ早めに知らせてもらうよう伝えましょう。

会社は休業の取得自体を断ることはできませんが、取得時期について調整を申し出ることは可能であると考えます。休業開始前の業務の引継ぎ等についても、計画的に進めるようにしましょう。

対象労働者のみならず、周りの労働者の不平不満を生み出さないことが、何よりの雇用環境整備につながります。



井寄 奈美氏

【著者】

井寄 奈美(いより なみ)

特定社会保険労務士

井寄事務所(大阪市中央区)代表。

http://www.sr-iyori.com/

 

クライアント企業の人事労務関連に関する社外ブレーンとして活動している。

人事労務関連の著書および講演実績多数。

【毎日新聞経済プレミア】にて「職場のトラブルどう防ぐ?」を好評連載中。https://mainichi.jp/premier/business/井寄奈美


この記事に記載されている法令や制度などは2022年2月時点のものです。
法令・通達等の公表により、将来的には制度の内容が変更となる場合がありますのでご注意ください。


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