父が築き守ってきたプロテック 「人のために」の理念を貫きたい プロテック株式会社 代表取締役 小松 麻衣氏
- 40-50代
- 北海道・東北
- 女性経営者
- 後継者
『ヒストリーブック』を媒介として、経営者と次の承継者が思いを伝えあう新企画の後編で
す。前回、創業社長で父である福島 優氏の会社経営哲学や今のアイアンドエフを形作って
きたものとは何かを読み終えた福島直輝氏。
自宅は互いに岡山にあり、東京では同じマンションで共同生活をしているので、初めて聞い
たというエピソードや、驚くような話はなかったといいます。それでも、知らなかった詳細『ヒストリーブック』(※)に書かれている文章を読むことで、改めて考えることがあったのだとか。
コロナ禍の東京と岡山に離れて過ごし、リモートワーク時期を経て、改めて親子で事業承継について話をしていただきました。
創業社長 福島優 氏へのインタビュー記事「ビジネスは総力戦。みんなが助けたくなる存在となり戦ってほしい」はこちらから
(※)The History Book(ヒストリーブック):社長の『考え方』『生き方』『あり方』を言語化し、財産とともに後継者が受け継いでいけるようお役立ていただけるツール。具体的には、会社の理念、歴史、直近の経営・財務状況、事業承継計画、重要な取引先等の連絡先、家族へのメッセージ、加入している保険の情報などを記入できます。事業承継予定の有無にかかわらず、経営者には必ずもっていただきたい1冊。エヌエヌ生命が制作。
株式会社アイアンドエフ
福島直輝氏(ふくしま・なおき)写真右
1989年岡山県生まれ。大学卒業後、PR会社に3年間出向し、デジタルマーケティングなどを手掛け、Web広告の営業として活躍。2020年8月アイアンドエフに戻り、現場を経験しながら、財務経理の実務を通じて数値管理の感覚を磨く予定。
会社を引き継ぐことに関して、正直なところまだイメージが湧いていないという福島直輝氏。
「出向をしていたということもありますが、今後アイアンドエフに戻って、メンバーと過ご
す中でより強くイメージが湧いてくるのではないかと思っています」
そのためだろうか、事業承継に関して不安に感じる点が今はないという。
「逆にそれがないことが不安ですね」
しかしこの 3 年、父、優氏とは東京の家で週に何時間も仕事の話をする関係が続いている。
「父親と同居するなんて珍しいねとよく人から言われますが、この貴重な環境はありがたいですね」
「ヒストリーブック」やインタビューにあった創業者の考え方や理想とする会社像などを読んで、理解できないと感じた点は皆無だったという。
「会社員時代、会社設立当初、東京進出した時の動機や失敗など、細かいエピソードは今ま
で知らなかったことも多く、それは興味深かったですね」
お酒を飲みながら仕事や会社の話をすることはたびたびだが、優氏の経営哲学やその背景、
思いなどを文章にして、まじまじと読んだのは生まれて初めてだった。
「目に見える形で改めて知るということ。それはそれで大切なんですね」
創業から大事にしてきているメンバーとのコミュニケーションについては、直輝氏もアイアンドエフという会社経営における重要なポイントなのだと深く知ることができた。
「メンバーは、今の社長をとても信頼してついていっているんだなと感じるので、そこはも
っといろいろ聞きたいですね。まあ狙ってやってきたことではないのはわかっているので、
なかなか教えてもらうのは難しそうですが。自分の代になってもメンバーとの良い関係や環境づくりは続けていきたいのでアドバイスを乞いたいと思っています」
このコロナ禍で、在宅勤務を経験し考える事も多かったという。
「出向先のメンバーと久しぶりに会い、顔を突き合わせて会議をしたときに、コミュニケー
ションをとるならやはり直接話したほうがよいのだと痛感しました。雑談をするなかでよいアイデアがどんどん生まれてきたんです」
オンラインでの会議より、具体的で大胆なアイデアがいくつも出てきたという。
「リモート会議の効率性と直接話す中で生まれる創造性のバランスをとるのはすごく難しいかもしれない。でも今後はハイブリッド・リモートワークを導入して、アイアンドエフにとってよい職場環境が作れたらいいのでは?と思っています」
今まで以上にメンバー同士のコミュニケーションがしっかり取れていて、会社の雰囲気が良い職場にするために努力したいという。
「父のいう『愛される会社』に通じるのだと思いますが、クライアントから頼りにされて、
気軽に相談ができるメンバーがいるのが、アイアンドエフだと思うんです。クライアントで
あるお客さまは、会社にではなく『人』につくもの。だからメンバーの雰囲気とか人柄や人
情がすごく大事な会社の要素なのではないでしょうか」
そのことを出向先の上司やメンバーからも教わってきた。
「部長は仕事もすごくできて、裏表がない人柄なんです。だからチーム全体が信頼し合って
よくまとまっています。頻繁に飲みに連れて行ってくれて、みんなで良くしゃべって良く飲
み、バリバリ前向きに仕事に取り組んでいます」
自分がそうされてうれしかったから、次はアイアンドエフのメンバーに同じことをしたいと考えている。
「そういうことは全然苦ではないし、お酒が入らないと言えないこともあるでしょう?年上の方に対しては、立場もあるので難しいのかもしれませんが…」
今いるメンバーでも後から会社に入ってきた人でも、自分の会社を大好きだと言えるメンバーがいる会社ならば、外からも愛される会社になれるのではという。
「今いる人たちはそれを持っていると思いますよ。僕は、個人のわがままによってその周囲
の人が不幸になったり、職場がちょっと嫌な空気になったりすることが、とても嫌なんです」
個人個人の考え方は尊重するが、周囲の事をおもんばかれない人に対しては遠慮なく指摘してきた。
「お互いの意見を上手に言い合える職場を目指したいですね。出向先でたくさんの人を見てきましたので、そこは敏感に気がつくようになれたかなと思います」
自分が、会社にもたらす価値については、いかに考えているのだろうか。
「コンペや提案案件が発生した時って、いろいろな人の助けが絶対に必要になってきます。
そんなとき声をかけられるメンバーがぱっと浮かびます。そういう関係性というか、人脈を
築けたのは強みかもしれません」
自分も相談を受けたら全力で応えるように仕事をしてきて培った人の絆だ。
「言われたことは全てやり切ろうと自分に課していました。現場の営業中心にやってきて、
そうやって案件を取れるうれしさは格別でしたね」
その反面苦手な事もある。
「営業は売ってなんぼというか、案件を受注できればある程度お金は後からついてくるという考えだったので、請求とか仕入れの処理とか事務系仕事は苦手なんです。一番会社で怒られていたことかもしれません」
将来、会社の財務や経理を見ていく立場になると、知識が足りない。もっと意識を変えなく
てはいけないと自覚している。
「今回、『ヒストリーブック』を読みながら、一番考え込んでしまった部分ですね」
資金繰りなどを考えながら、社員に給料を支払っていく立場になったときに、会社が傾かな
いように、継続させていかなくてはならない。
「もし会社が窮地に陥ったら、最後のひとりになるまで頑張りますけどね。でも今のメンバ
ーとだったら、よっぽどのことでも起こらない限り、大丈夫だろうと信じています。父が、社
長はチーム監督で、メンバーと協力して総力戦で戦うんだと言っていましたが、なんとなく
わかる気がします」
改めて事業承継について、「ヒストリーブック」を媒介にしてそれぞれ考えた二人に感想を
聞いてみた。
優氏 私は、創業者だから事業承継をされたことがないのでわからないけれど、最後はやは
り自分で何でも経験するしかないと思う。たとえば、財務とか経理の専門的な勉強をしたこ
とはなくとも、資金繰りに必死だったから、今こうして経営ができている。今は全体の数字
も大きくなってきたし、しかるべき専門的な先生について勉強をするほうがいいのかもしれ
ないね。
直輝氏 そういう意味ではアイアンドエフには相談ができる人がすでに周囲にいる環境があ
るのがありがたい。自分は本当に運がいいんだなと思う。
優氏 経営を勉強する場に行くと、2 代目、3 代目の経営者が来ていて、同じ悩みなども話
し合えるから、きっと経営者の仲間もできるよ。
直輝氏 出向先にも頼りになるメンバーがたくさんできたけど、経営の話ができる知り合い
はまだいないからね。でもベンチャー企業経営者の話は、YouTube でよく見ているよ。無
料なのにあれだけ濃い内容の話を聞くのは面白いし、勉強になる。
優氏 それはそれでいいけど、実際に相手を知って、教わったり、感じたりすることのほう
が得られることも多いよ。たとえば決算が終わったら、銀行の支店長にアポをとって毎年一
年に一回はこちらから出向いて業務報告をしている。そういうことをきっちりやっておくと相当信頼が得られるんですよ。今の銀行は多角的に事業をしているから情報ももっているしね。
直輝氏 PL も BS も CF もわからないので、そこから勉強します。自分でも相当やばいな
と思っているので…。でも今のアイアンドエフには給与や賞与の規定などがしっかりあるの
で、そういうところもありがたいですね。
優氏 それもこれも社員の幸福度を上げていきたいと思った結果、生まれたものだからね。
社員の幸福度が高まれば、自分も幸せを感じられるようになる。そこさえきちんとやれれば、
私の事なんか簡単に超えられるんじゃないかな。
直輝氏 「3 つの笑顔」の社是の通りだと思う。お客さまに笑顔になってもらったら、私た
ちも笑顔になれるし、収入が増えたら家族も笑顔になれるしね。それを最優先にしながら、
新しい事業の柱を増やしていけるように挑戦もしてみたい。
優氏 今までの話を聞いていて、要所要所で思っていることを伝えてきたのは、やはり良か
ったのだなと思えたね。しかしこういう機会をもらって、改めて事業承継を真剣に考える時
間ができて、とてもよいきっかけになったのはうれしかった。
直輝氏 時間をかけてここまで考えることはなかったし、面と向かってこんなことを話し合
うのは恥ずかしいしね。でも、一日も早く安心して任せてもらえるように成長して、毎日ゴ
ルフに行っても大丈夫だなと思ってもらえるようになりますので、もう少しの間、引き続き
力を貸してください。お願いします!
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