インボイス制度導入でどうなる? 税務調査の方針と留意すべきポイント
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この記事は日経トップリーダー2021年10月号に広告掲載したものです
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「従業員を大切にする」ことは経営の根幹だと言われるが、業績悪化などを受けて安易なリストラに踏み切る企業も少なくない。そうした中、「何があっても雇用を守る」という信念を貫き、27期連続黒字を達成しているのが日本レーザーだ。同社の近藤宣之会長に、従業員が安心して働ける環境の大切さについて聞いた。
株式会社 日本レーザー代表取締役会長 近藤 宣之氏
株式会社 日本レーザー
事業内容:世界のトップメーカーのレーザーや カッティングエッジ技術を実現したレーザー機器、 最先端の光技術とその製品の輸出入
設立:1968年4月16日 従業員:60名(2021年1月時点)
2億円の債務超過を抱えて倒産寸前。銀行や親会社からの支援も見込めない。
近藤宣之会長(当時は社長)が、再建請負人として親会社の日本電子から送り込まれた日本レーザーは、そんな絶望的な状況にあった。
「1994年に社長に就任し、トップダウン経営で1年目に黒字化を実現。2年目には累積損失を一掃しました。ところが、運悪く97年にアジア通貨危機が発生して、再び経営環境が悪化。いよいよ従業員を辞めさせなければならないのか、と悩んでいたとき、米国で行われた展示会である男性と偶然再会したことが、『何があっても雇用を守る』という思いを呼び起こさせたのです」と近藤会長。その男性は、近藤会長が日本電子の米国拠点で総支配人をしていたときにリストラした研究職の従業員だった。
「東西冷戦の終結とともに、当時この米国拠点が軍需産業に納入していた製品の需要が急減してしまったのがリストラの大きな理由でした。その男性は『日本企業はレイオフもリストラもないと聞いていたから入社したのに』と涙を流して残留を訴えました。その後、どこで何をしているのか分からなかった男性と、何万人もが参加する展示会で偶然、しかも笑って巡り合ったのは、神様が『安易に人を辞めさせてはいけない』と諭すためだと思いました」
近藤会長は20代から30代にかけて日本電子の労働組合委員長を務め、そのときにも全従業員の約3分の1がリストラされている。組合員との個人面談で、経営の犠牲になって辞めさせられる無念さを嫌というほど聞かされた。
「会社の成長は、そこで働く従業員の成長によって支えられている。経営者なら誰もがそう口にするものですが、実際には業績悪化などを受けて安易にリストラする会社が多い。それでは従業員は安心して働けないし、能力を発揮できないので業績はさらに下がるという悪循環に陥ってしまいます」 苦しいときは、たとえ一時的に給料を下げても、雇用だけはしっかりと守ることが大切だと近藤会長は提言する。
日本レーザーでは、現在約60名の従業員が活躍。実力主義ではあるが、従業員同士のコミュニケーションは非常に活発で、これも「利他の気持ち」を育む風土をもたらしている。
レーザー機器の輸入専門商社である日本レーザーは、近藤会長が経営を担ってから27期連続黒字を達成。2020年度もコロナ禍をものともせず、増収・増益で、史上最高を記録した。
「社長就任以来27年間、生涯雇用を基本に、早期退職も希望退職も行わず、会社都合で人を辞めさせたことは一度もありません。従業員が安心して活躍できる環境を整えたことが、会社の成長につながっています」 近藤会長は、経営に求められるのは「How to(ハウツー)ではなく、What should be(ホワット・シュド・ビー、会社はどうあるべきか)」だという。
会社がすべきこと。それは従業員とその家族を守ること、というのが近藤会長の信念だ。ひと言で表すと「人を大切にする」ことである。
とはいえ、それは従業員を甘やかすことではない。日本レーザーでは、従業員に大胆な裁量を与え、結果を出せば公平な評価の下に処遇している。
近藤会長は、「赤字は罪悪」だという信念を持っている。黒字が続けば、万が一何らかの都合で従業員が働けなくなったとしても、その資金を保障に充てられるからだ。その成長と活躍によって生み出される黒字が、「雇用を守る」ための原資になるのである。
「悲しいことですが、過去に3人の優秀な従業員をガンで亡くした経験があります。しかし、『最後まで働きたい』という彼らの意向をくんで、在宅勤務や週2、3日の勤務でも、正社員として雇用し続けました。たとえどんな状況になっても、従業員の希望はかなえてあげたい。そのためにも、黒字にこだわり続ける必要があるのです」
株式会社 日本レーザー
営業本部システム部 係長
尾又 清登氏
株式会社 日本レーザー
営業本部システム部 係長
小野寺 毅師氏
また日本レーザーでは、従業員が出産・育児休暇や介護休暇などを取る際に、別の従業員がその間だけ担当を引き受ける「ダブルアサインメント」(1業務2人担当制)も行われている。
制度として導入されているものではなく、従業員同士が話し合いによって決めるものだ。同社では、「利他の気持ち」をクレド(従業員の信条・行動指針)に掲げており、何らかの都合で働けなくなったときは、互いに助け合うという文化が根付いている。これも、従業員が安心して働き続けられる理由の一つとなっているようだ。
最近、半年間の出産・育児休暇を取得することが決まった営業本部システム部 係長の尾又清登氏は、「安心して休めますし、その間も大事な顧客企業とのつながりを保てます。今回は頼る立場ですが、他の従業員に何かあったら、次は私も支えたいです」と語る。一方、尾又氏の休暇中に仕事を引き受ける営業本部システム部 係長の小野寺毅師氏は、「新しい仕事を担当すれば、自分自身が成長するチャンスも得られます。その意味でも、『人を大切にする会社』のありがたさを実感します」と言う。
病気や何らかの都合で働けなくなっても、従業員が安心して休める環境を整えることは、日本レーザーが事業を継続し、成長するための原動力となっている。それを実現できるのは、「何があっても雇用を守る」という〝覚悟〟と、「赤字は罪悪」という信念で積み上げた〝備え〟があるからだ。
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