インボイス制度導入でどうなる? 税務調査の方針と留意すべきポイント
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株主が会社に対して求めることは多種多様になってきていますが、種類株式はそれに応えるために活用されています。会社法上、認められている種類株式は9種類ですが、事業承継において活用されることの多い種類株式は、「配当優先株式」「無議決権株式」「拒否権付株式」の3つ。今回は、これら3つの株式を用いてスムーズな事業承継を行う手法を紹介します。
株式は、共益権として議決権を行使し経営に加わる権利と、自益権として得られた剰余金や残余財産の分配を受ける権利の2つに分けられます。会社は、その議決権や剰余金の分配を受ける権利等を株式ごとに取り決めた種類株式を発行することができます。
その会社が普通株式のみ発行している場合、すべての株主は等しく取り扱われます。一方、種類株式発行会社となると、種類株主ごとに取扱いが変わってきます。 株主が会社に対して求めることは多種多様になってきています。会社は、その多様な要望を持つ株主とともに経営を行っていく必要があり、それに応えるべく種類株式が活用されています。 ただし、必要以上に多くの種類の株式を発行すると、事務処理手続きを煩雑にするだけでなく、会社の経営を複雑にし、非効率になってしまいます。そのため種類株式の発行には、弁護士、税理士等の専門家も交えて慎重に話し合う必要があります。
会社法上、認められている種類株式は、以下の9種類となります(図表1)。
これら9種類の株式を組み合わせて、その会社独自の株式を発行することができますから、種類株式の活用により、多くの利害関係者の要望に応えることが可能となります。
事業承継において活用されることの多い種類株式は、配当優先株式、無議決権株式、拒否権付株式ではないでしょうか。活用の方法としては、①従業員持株会を運営する場合、②拒否権付株式を利用した株式の移管をする場合などが代表的です。
活用例① 配当優先無議決権株式を活用した従業員持株会の運営
活用例② 拒否権付株式を利用した株式の移管
◇ ◇
上記の例以外でも、種類株式は事業承継だけでなく、さまざまな場面で活用されています。各会社における役員、株主、ステークホルダーの状況によって最善な方法は変わってきます。種類株式を活用する際は、専門家を交えて慎重に、かつ柔軟に検討することをお勧めします。
著 者
山川 直人(やまかわ なおひと)
税理士
税理士法人 山田&パートナーズ
タックスマネジメント部
シニアマネージャー
新卒として、一般事業会社に営業職として入社する。
その後、税理士法人 山田&パートナーズに入社、法人・資産税第2部に所属。主に、法人税申告業務、個人所得税申告業務、相続税申告業務に従事。
みずほ証券 ウェルスマネジメント部に出向し、富裕層、会社オーナーのコンサルティング業務を担当。
出向後は、タックスマネジメント部に所属し、主に、法人決算サポート、相続対応コンサルティング、事業承継コンサルティング業務を行う。
この記事は、エヌエヌ生命プレミアレポート2019年5月号からの転載です。 この記事に記載されている法令や制度などは2019年4月作成時のものです。
法令・通達等の公表により、将来的には制度の内容が変更となる場合がありますのでご注意ください。
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