インボイス制度導入でどうなる? 税務調査の方針と留意すべきポイント
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社葬とは、企業の創業者、会長、社長やその会社に貢献した人が亡くなった場合に、その企業が主体となって執り行う葬儀をいいます。その目的は、故人を悼むことが第一義ですが、経営者の場合には事業を承継する次の経営者を広く知っていただく機会となります。つまり社葬は、次の世代へ会社をつないでいく、大きな意味で企業継続を広報する活動でもあるのです。
社葬では、故人がそれまで培ってきた企業に対する功績をたたえるとともに、次を担う後継者が、同じ思いでしっかりと事業を継続していくことを内外に示す場でもあります。社葬を行うことによって取引先や関係会社、そして自社で働く人へも事業継続の安心感を与え、その後の事業を行いやすくするという一面があるのです。
経営者はご自身の亡きあとをご自分で想像するのは、難しいかもしれません。しかしながら、苦労して成長させてきた会社のことを考え、社葬の準備をしておくことが望ましいです。
経営者は元気なうちに、会葬者を想定しておきます。その方との関係、付き合いの長さや取引の内容などがわかると、実際の社葬の際の座席表作成や後継者からの挨拶のヒントになりますので、より具体的に記録しておくと役に立ちます。
また、万が一の際の緊急連絡網を作っておくことで、それを見れば社内の誰が社葬に関わるかがあらかじめわかるようになっているとスムースです。
まずは、社葬の執行責任者を決める必要があります。一般的には、総務や秘書課のトップにあたる方が、担当することが多いようです。取締役会を経て決まる場合もあります。
大切なのは、社葬を取り仕切る執行責任者のところに、いつ何時でもすべての情報が集まるような仕組みにしておくことが重要です。
次に社葬に、どんな方が何名来られるかを把握することが求められます。企業の取引先や関係する会社や団体、交友関係からご案内名簿を作成します。故人が生前に作成したものがあれば、それを参考にします。この名簿によって、社葬の案内状の作成数などを把握し、会場の規模、予算などを割り出すことができます。
葬儀の日程は、先んじて行われた遺族や家族による密葬(家族葬)が執り行われてから1カ月くらいが目安です。四十九日法要の前には行うと良いと言う方もいるようです。
いずれにしても家族葬後、葬儀社に連絡を取り、やるべきことや運営などを相談しながら社葬をつつがなく執り行うことが求められます。
企業が存続することを前提に執り行われるセレモニーですから、会社への信頼感を深めていただくためにも得意先、関係先や団体、故人の交友関係先の参列者に失礼があってはなりません。そのためには、統括本部を置き、執行責任者は必ずそこを離れずに判断や指示ができるようにしておくとよいでしょう。
社員は、社葬での役割を手分けして担当します。葬儀社の社員に全面的に任せてしまうのではなく、社員一人一人が会社の顔として責任をもって各役割を遂行することが望ましいです。参列される方は、企業の姿勢をそこから読み取り、信頼感を深めてくれることでしょう。得意先の顔と名前や故人との関係を良く知る社員が、受付に必ずいて、率先してご案内することも大切です。
社員が担当する役割
社葬を執り行うときに最も重要で難しいのは、参列者との関係や座席順、お焼香の順番などです。この時に、生前作成しておいた名簿があれば、事前にそれらの並びを考えることができるので、残された社員はとても助かるのです。
ご供花の並べ順などにも、失礼がないように配慮します。ご供花は、社葬の訃報案内に供花申し込み窓口を記載して、名札名、請求先住所、集金方法などを記載できるようにしておきます。名簿を担当の花屋に事前に共有することで、指示することなくご供花を正しい順番で並べることができます。
社葬にかかる経費は通常企業が負担し、税制上も福利厚生費として損金算入することができます。「いばそう企画有限会社(当記事の監修者が経営する葬儀会社)」の場合は、参加人数×1万円を、概算予算の目安にしています。その予算を基準にして、祭壇に凝りたいとか、思い出ビデオを作りたいなどの追加でかかる費用を加算していきます。
お香典の会計処理の方法などは、その企業の考え方がありますので、ご遺族と専門家に相談されながら進められると良いかと思います。
弔辞奉読者は、通常ですと葬儀委員長、取引先や関係団体、議員の方、友人代表など3~4人で、それぞれ5分くらいのお別れの言葉をいただきます。
その際に社員代表として、古くから在籍し、故人と共に苦労してこられた社員の方の弔辞をお勧めしています。ありきたりのものではなく、故人をよく知る人から心のこもったエピソードを聞くことができます。
故人の思いは、亡くなってからでは聞くことができません。会社をどういう思いで作ったのか。どんなふうに次につなげていきたいのか。会社経営で大事にしてきたことは何か。
遺影はこれで良いのか。誰に参列してほしいのか、式の時に流す音楽の希望は?などなど。
元気な時に聞いておけば、何でもないことなのですが、葬儀は忌むべきこととしてなかなか、生前に話を聞くことが難しいようです。
経営者は生前に会社に尽くすのみならず、自分の亡き後も分身ともいうべき会社が健全に、安泰に継続していくよう、「社葬」の重要性を念頭に置いて準備しておくことが大切です。
【監修】
林 三弘(はやし みつひろ)
いばそう企画有限会社 代表取締役
https://ibasou.co.jp/(別ウィンドウで開きます)
花想舎CEO
全日本葬祭業協同組合連合会(別ウィンドウで開きます) 茨城中央葬祭業協同組合 理事長
葬儀100年会 会長
日立市十王商工会副会長・日立市法人会青年部 理事
日立法人会常任理事(令和5年1月1日現在)
全国各地で計40回の葬儀セミナー・講話・講師(令和5年1月1日現在)
茨城県災害3社協定。日立市・古河市・土浦市災害協定締結
日立市内の専門葬儀社ナンバーワン
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