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世界に“おやつエンタテイメント”を巻き起こす!
株式会社ESSPRIDE 代表取締役CEO 西川世一(せいいち)氏

  • 後継者
  • 新規ビジネス

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社長の写真付きカードがおまけについた「社長チップス」で注目を集めるなど、“おやつエンタテイメント”(お菓子の力で人々を笑顔にする企業プロモーションやファンづくり)で熱狂を巻き起こす株式会社ESSPRIDE。代表の西川世一氏は球児として野球漬けの青春時代をおくり、一念発起して家業のワールド・パック株式会社(現株式会社meteco)に入社する。そこで目にしたのは買い叩き、価格競争に翻弄(ほんろう)される中小企業の姿だった。西川氏は家業から独立起業し、お菓子をメディアにするという発想で事業を順調に拡大してきた。根底にあるのは「大企業に勝てる領域で、自分たちにしかできないビジネスを創る」という熱き思いだ。創業から15年を迎えた西川氏に、事業承継、地方経済の活性化も視野に入れる“おやつエンタテイメント”の可能性を語っていただいた。

家業に取り組んで知った厳しい現実
価格勝負から脱却するために知恵を絞る

美濃焼、瀬戸焼など陶磁器の一大産地に近い愛知県で生まれ育った。家業は「箱屋」。陶磁器を入れる箱作りから始まった製函(段ボール製造)業は地場産業になっており、近隣には中小の紙器工場が多い。西川氏の父が1965年に創業した西川紙器製作所(後に、ワールド・パック株式会社に社名変更)も、その一つだ。

 

子どもの頃の夢は「プロ野球選手」。高校野球の名門・中京大中京で甲子園を目指し、野球漬けの日々を過ごした。しかし、腰の故障に悩まされ、大学で野球を断念。「父のような経営者になりたい」と考え、会計、デザインの専門学校を経て、ワールド・パック株式会社に入社する。

 

「学生時代、東京では音楽イベントのプロデュースも手がけたりして好調でしたが、家業に入って中小零細企業の厳しい現実を知りました。箱を納品しているお客さんからは、箱代を○%安くしろ、無理なら他社に切り替える。そんな電話が毎日のようにかかってきましたから」

 

「この業界は先がないかもしれない、音楽イベントが仕事になるなら東京に戻ってもいいぞ」と漏らす父に、西川氏は「自分がなんとかしなくては」と奮起する。しかし、ただの箱では差別化ができない。価格勝負に陥るのは、付加価値が出せていないからだ。

 

「ゼロを1にするクリエイティブの楽しさは音楽イベントプロデュースの仕事で体感していました。あの喜びをうちの仕事でも感じたい。だったら、自分たちにしかできないことを見つけなきゃ。箱屋を面白く、稼げるビジネスにしなくては!と決意しましたね」と、当時を振り返る西川氏。だが、どうやって付加価値を出すか。動かずに考えても答えは出ないことは、野球少年時代の経験が教えてくれた。答えは一つ。ただ愚直に知恵を絞り、汗をかくしかない。

 

まずはパチンコホールの新台POP、スーパーマーケットの陳列什器の提案に注力する。広告代理店に営業をかけて提案し続けた結果、新規の受注はある程度獲得できた。しかし、見積もりの段階で敗退するケースも相次いだという。

 

「競合が大手印刷会社になると、規模の大きさを生かした見積もりを提示してくる。こうなると、価格ではまず勝てません。ここにまた中小企業の限界がありました。結局は消耗戦か…途方に暮れながら考え続ける毎日でした」

お菓子でセールスプロモーションを!
大企業が追随できない分野で新事業を起動

自分たちにしかできないビジネスは何か?模索し、もがき続ける西川氏だが、思わぬところからヒットが出る。

 

「競艇場の来場者に無料配布する記念品の企画でした。僕は考えたあげく、ボートごとに割り振られている色に着目しました。合わせたのはお菓子。そう、選手の色と同じ色の金平糖とフィギュアを同梱するという企画を提案して、成約にこぎつけることができたんです」

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会社として大きな売り上げが立った。そして、それだけではなく、もらうとうれしいし、コミュニケーションの基点になる「お菓子」の可能性が見えた。「お菓子」は人と人をつなぐメディアになる。これを切り口に企業の販売促進やイメージアップができないだろうか?

 

「何万個、何十万個単位で作らないと採算が取れない大手企業は、単発の企画は提案しにくいですが、僕たちのような中小企業は小ロットで、面白い、独特な企画を存分に提案できます。やるしかない!と事業化に着手しました」

 

 ワールド・パック株式会社の一事業部としてはじまったお菓子事業だが、軌道に乗ったこともあり、西川氏は家業からの独立を決断。身一つで上京し、ワンルームアパートの一室で起業する。

 

名古屋で地盤を固めようという父と、大市場である東京に打って出て勝負しよう、と考える僕。考えが異なり、独立を決めました。あくまで円満に、応援されるかたちで分社しましたけれども。現在、ワールド・パック株式会社は株式会社metecoへと名前を変え、僕の弟が代表を承継しています。資本関係を結び、グループ会社として連携を強めています」

事業承継の支援も視野に入れる社長チップス
“おやつエンタテイメント”の可能性は広がっていく

お菓子を基点にした企業のプロモーション、ファンづくりに取り組み続け、株式会社ESSPRIDEは創業15周年を迎えた。現在は、芸能プロダクション、プロ野球、Jリーグ、テーマパーク、アニメ、マンガ、海外コンテンツなどの商品企画開発、製造、店舗プロデュース、販売運営など幅広く手がけている。

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Jリーグ・浦和レッズ(写真上)や、野球日本代表・侍ジャパン(写真下)のファングッズや販売店舗をプロデュース

提供)株式会社ESSPRIDE

金平糖が成功体験となったが、西川氏はビジネスの軸をお菓子に限定しない。「うれしさを感じたり、喜んでもらえたり、コミュニケーションが円滑になるもの」=“おやつエンタテイメント”と定義する。

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写真)社長チップス

提供)株式会社ESSPRIDE

いま、その“おやつエンタテイメント”の4番打者として存在感を放つのが「社長チップス」だ。これは、ポテトチップスのおまけに社長カードをつけたもの。「汗と涙のCEO(塩)味」「輝かしい未来へ突き進む“勝利のコンCEOメ(コンショメ)味”」など、遊び心あふれる全5種類の味がある。社長カードには会社概要や社長のプロフィールはもちろん、自己採点による「社長戦闘能力測定」なるものまで記載される。まさに自社のビジネス、社長のキャラクターや思いを世の中に知ってもらうためのメディアだ。

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「社長チップスの原点は、箱屋として実直に仕事に取り組んでいた父の背中にあります。一生懸命身を粉にして働いていても、箱屋に取材が来ることはありませんよね。それは露出して知ってもらえる機会がないから。当然、箱屋になろうという若い人もいない…。だったら、社長をポテトチップスにして、みんなに手にとってつまんでもらえばいいじゃないか。そんな発想が原点なんです」

 

ポテトチップスになった社長たちは既に400名以上。経営者のPRツールとしてだけではなく、学生に興味を持ってもらうため採用シーンに取り入れたり、企業同士のマッチングなど幅広く活用されている。社長チップスを基点に地域経済の発展、そして中小企業の事業承継も支援したい、と、西川氏は今後の展望を語る。

 

「困難を乗り越えながら、地域で頑張っている会社を応援したい。その思いで各地の経営者に声をかけています。そして、日本全国で100万社以上の企業が後継者難に直面しているという現実も見逃せない。中小企業の承継は喫緊の課題です。若い人たちに、こんなに面白い会社がある、こんなにユニークな社長がいる、こんな興味深い産業がある、ということを伝え、つなげていかなければ」

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社長チップスの取り組みの一環として開催された「Charming Chairman's Club TOUR 2019(チャーミング・チェアマンズ・クラブ・ツアー 2019)」は、その理想に沿うものだ。社長と学生が直接対話する大規模な会議を各地で開催。「令和の愛されるリーダーとは」をテーマに、講演やトークセッション、懇親会などが全国11カ所、14回にわたり行われ、各地の社長と若い世代との積極的な交流を促進した。

 

経営者の魅力を学生や若者、地域社会などに広く発信し、ファンを増やすことで企業の成長、地域経済の発展を支援していきたい。企業も成長を続けていくためには、若者の力が絶対に必要です。経営者が若者と同じ目線で考える有益な機会にできればいいですね」

また、その想いをかたちにしたCharming Chairmen CHAMPIONSHIP(チャーミング・チェアメン・チャンピオンシップ)もユニークだ。社長が自らの夢をプレゼンテーションし、学生の投票で「最もチャーミングな社長」が選出されるという新しいアワードだ。

 

西川氏の目線は今や国内を飛び越え、世界にも向いている。「世界に“おやつエンタテイメント”を巻き起こす!」という西川氏の思いは、同社の事業をさらに熱いものにしていくはずだ。

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ESSPRIDE本社の商品展示スペース

「コロナ禍によって、ちょっとした喜びや驚きにつながる“おやつエンタテイメント”の可能性が、再認識された面もあります。それらが人々に笑顔をもたらす、元気を与えるというのは、国内だけでなく世界共通のことですから。プロ野球やJリーグの物販の成功をアジア、アメリカ、ヨーロッパなどに横展開しつつ、それぞれの国、文化圏に合わせた“おやつエンタテイメント”を提案していければと構想しています」





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