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継ぐ・継がないだけでなく
家業に関わる人がつながるオンラインコミュニティ
家業エイド

日本の中小企業の占める割合は99.7%※1といわれ、その数は約358万社※2にものぼります。日本の屋台骨といえる中小企業ですが、目下の課題は事業の存続にも大きく影響を及ぼす「後継者問題」でしょう。中小企業サポーターであるエヌエヌ生命保険株式会社(以下、エヌエヌ生命保険)では、この中小企業が抱える課題を解決し、次世代の支援へとつなげるため、2020年に新たなコミュニティを立ち上げました。それが「家業エイド」(前身:グラフトブレナー)です。運営は、エヌエヌ生命保険において新たな価値の創造を目指す専門チーム「SparkLab」が担っています。

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新たな視点で事業承継の課題に取り組む「家業エイド」について、実際に「家業エイド」に参加し、次なる一歩を踏み出した「茶のつたや」の4代目・清水真由さんに話をうかがうとともに、運営スタッフの一人であるエヌエヌ生命保険株式会社の稲木元昭に話を聞きました。

  • 1.2 中小企業庁より公表の「中小企業・小規模事業者の数の集計結果(2016年6月時点)」を参照

家業のことを考えるいい機会、まずは飛び込んでみよう

「家業エイド」は、家業を持つ方たちが継ぐ・継がないの二択ではなく、同じような境遇の仲間と業界の枠を超えて繋がり、互いの悩みや不安、喜びを共有し、助け合いながら、自分らしい家業との関わり方のヒントを見つけていくオンラインコミュニティです。


稲木:「中小企業を“家業”と捉えたとき、家業に関わる人の数は経営者やその家族を含めると約1000万人、その中で事業承継するのは約100万人と考えられます。その家業を継いだ方たちには国や金融機関から手厚いサポートがありますが、一方で残りの900万人の方たちにはサポートも支援もありません。しかし、実際に話を聞いていくと、事業承継をしないで家業に関わる方も家業に対して何らかの悩みや不安を抱えている方は多く、しかもそれを打ち明ける仲間も場もないことがわかりました。『家業エイド』は、こういった方たちが家業特有の悩みを打ち明け、交流できる場を作りたいと思い、活動をスタートしました」


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東京・高田馬場で日本茶の小売店を営む「茶のつたや」の4代目・清水真由さんも、「家業エイド」に参加した当時は、まだ家業を継ぐことも考えておらず、ただ漠然と家業に対して悩みを抱えていました。


清水さん:「当時、私はまだ大学4年生でした。すでに就職先も決まっていたのですが、常に頭の中には家業のことがありました。そんなときにたまたま『家業エイド』の存在を知り、卒業前のこのタイミングに家業を考えるのはいい機会かなと思って、まずは飛び込んでみようとイベントに参加したのが始まりです」

家業後継者だけでなく継ぐかどうか悩んでいる人にも参加してほしい

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清水さんは、初めて参加したイベントで日本茶について話をすると、参加者から意外な反応があったといいます。


清水さん:「私はそれまで日本茶に対してネガティブなイメージを持っていたのですが、話を聞いてくれた皆さんが『お茶っていいね!』『面白いね!』といってくれたんです。それまで友人たちにも家業について話したことはなかったので、皆さんの反応がとても新鮮でした」


家業への思いを吐露した清水さんは、自分の中に凝り固まったイメージを払拭するとともに、新たな気持ちで家業について思いを寄せるようになりました。


真摯に家業と向き合う同世代の存在が刺激に

その後も「家業エイド」のイベントやコミュニティに参加し、家業への認識を深めていく中で、清水さんは真摯に家業と向き合う同世代の姿に刺激を受けるようになりました。特に、お米屋さんを家業に持つ女性との交流は、清水さんが家業をより深く知るきっかけとなり、未来につながるヒントを得る機会にもなったそうです。

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清水さん:「お米屋さんとはお互いの家を行き来させてもらいました。そこではご両親を含め、いろいろとお話をうかがいました。私はいずれ無農薬の日本茶を取り扱いと考えているのですが、お米屋さんはすでにそういった取り組みをされていて。実は、お茶屋とお米屋さんの商流はとてもよく似ているんです。だから、お互いの共通点を踏まえた上で、ノウハウやアドバイスをお聞きすることができました。とてもシンプルなレクチャーでしたが、直接、その場でうかがうと自分の中にすっと落ちてくるものがあって、すごく納得することができました。ほかにも、同じ歳ですでに家業を継いでいる方もいますし、さまざまな方から刺激を受けています」


「家業エイド」の前身である「グラフトブレナー」の設立当初は、オフラインの活動が中心でした。しかし、運営拠点が東京ということもあって、どうしてもイベントや交流が関東圏に集中してしまい、さらにこのコロナ禍でリアルな交流がしにくくなったことを考慮し、2020年にオンラインコミュニティへと体制をシフトしました。そのおかげで現在は47都道府県のさまざまな業種の家業を持つメンバーが集い、業界の垣根を超え、地理的な制約も受けず、より多様な人たちが交流できる場になりました。


清水さん:「オンラインはいろいろな方とつながれるので、すごくメリットがあります。以前、お米屋さんに『一次生産者の方とつながりを持つといい』といわれたので、今後、『家業エイド』でお茶の農家さんとつながれたらいいなと期待しています」

「家業エイド」をきっかけに”学びのアンテナ”が立つ

「家業エイド」の活動を通じて、清水さんが家業に関心を持つようになると、もう一つ、大きな変化が生まれたといいます。それはご両親との関係です。それまでの親子関係は決して良好とは言い難かったそうですが、家業を考えるうえでご両親とのコミュニケーションは欠かせないと清水さんは気づき、自らコミュニケーションを図るようになりました。娘の変化を受け、ご両親も清水さんの話に耳を傾けるようになり、今ではフラットに意見を交わし合うまでになったそうです。


清水さん:「おそらく、家業のことを何も考えていない段階で話しても、『何をいっているんだ』となったと思います。でも、今は両親と相談しながら、いろいろと進められるようになりました」


「家業エイド」の活動に参加してから3年が経った2021年夏、清水さんは家業を継ぐことを決意しました。今後は、「家業エイド」に参加している方たちの力を借りて、経営や集客方法など家業により具体的に結び付くノウハウを学びたいといいます。


清水さん:「先日、『家業エイド』で家業をバックグラウンドにしたSNSの活用術を学ぶ講座があったんです。この講座を受けるまでSNSをプロフェッショナルに使いこなすことまで考えていなかったので、もっといろいろと運用できたら面白いだろうなと思って、改めて、勉強しようと思いました。『家業エイド』のおかげで、私の“学びのアンテナ”はどんどん立つようになりました。このアンテナが立ってないと、せっかくいい情報に接していても、それに気づくこともできないと思うのですが、『家業エイド』でメンバーの方たちとコミュニケーションを図ったり、イベントに参加することで、アンテナがちゃんと立って学びのきっかけをキャッチできています」


稲木:「『家業エイド』には、すでに家業に入って承継の準備を進めている方もいれば、継ぐことを迷っている方もいますし、家業を活用して新たなビジネスを考えている方もいます。さまざまな方がいろいろなフェーズで参加しているので、イベントでは事業承継にすぐに役立つビジネス色の強いものもあれば、もっとフランクな交流会もあったりと、内容は多岐に渡っています。でも、どの活動もアットホームな雰囲気で行っていますので、今後もその『家業エイド』らしさは大切にしていきたいですね」


清水さん:「『家業エイド』のスタッフの方は、メンバー同士が雑談しやすいような雰囲気を作ってくれたり、興味のある分野やそれに関わる人を紹介してくれたりと、とてもきめ細かくサポートしてくれます。家業後継者向けのコミュニティはほかにもありますが、『家業エイド』は家業を継いでいない人も、今はまだ継ぐ気がない人でも受け入れてくれるので、一人で悶々と悩みを抱えている人には参加をおすすめします。もし、私が『家業エイド』に参加していなかったら、自分の幸せのためだけに働くことはできても、未来世代のために頑張ろうとは思わなかったかもしれません」


家業は家族の一部。だからこそ、未来世代にベターをつなぐ

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家業を持つ人にとって、代々続く家業の重みは計り知れません。清水さんも創業した曽祖父のことやその歴史を考えると、それがプレッシャーに感じることも。しかし、この土地で先祖や家族が100年近く続けてきた家業を受け継ぐと決めたのであれば、「未来世代にもベターなものをおすそ分けできるように頑張りたい」と話してくれました。


清水さん:「この先のアイデアはたくさんあるんです。私は環境問題にも関心があるので、まずは日本茶の量り売りを積極的に行い、包装用プラスチックの削減に努めたい。あとは両親が望む日まで働けるお店にしたいので、すぱっと代替わりするのではなく、私自身が徐々に家業に馴染んでいけたらいいなと思っています。私にとって、家業は家族の一部。だから、これからも両親、家族の関係性は大切にしていきたい」


現在、「家業エイド」の参加者は1000名(2021年7月末時点)ですが、今後、さらに多様なメンバーが集まってくることでしょう。そうなれば、「家業エイド」のつながりがきっかけとなって、新たなビジネス、取り組みが生まれることも夢ではありません。


稲木:「『家業エイド』はいろいろな可能性を探ることができるコミュニティです。我々、運営側ももっと積極的に関わり、いずれは家業を持った方たち同士で新たなプロジェクトが生まれてくるようなプラットフォームにしていきたいと思っています。『家業エイド』の活動が盛り上がれば、中小企業全体も活気づくでしょうし、それが次世代の支援にもつながるはず。『家業エイド』は今が完成形ではありません。この先も参加メンバーの皆さんとともに成長していきたいと思っていますので、家業をお持ちの方はぜひ参加してみてください」