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番外編!
従業員退職金ガイド

こちらは従業員向けの退職金に関するページです。退職金制度の種類や退職金の相場、退職金にかかる税金などを解説します。

目次

退職金制度とは

退職金制度は企業が従業員の退職時に一定の金額を支払う制度のことで、通常の給与や賞与とは別に支給されます。 退職金制度は福利厚生制度の一部ですが、「法定‘外’福利厚生」に該当し、企業が自主的に設ける制度です。「法定‘外’福利厚生」に該当する健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、子ども・子育て拠出金は、従業員を雇っている会社であれば必ず加入しなくてはいけませんが、「法定‘外’福利厚生」の一つである退職金制度は法律で義務付けられているわけではありません。一方で、企業が退職金制度を設けた場合はその制度に従って従業員に対して退職金を支払うことが求められます。

退職金支給の方法

退職金の支給方法には以下のようなものがあります。

退職金支給の方法
一時金:71.8%
退職時に一括で支払う方法
一時金と年金の組み合わせ:23.3%
退職時に退職金の一括支払いと毎月分割支払いを併用する方法
年金:4.9%
退職金を毎月分割して支払う方法

出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年)」のデータをもとにエヌエヌ生命が作成

退職金の支給方法は、一時金をベースにしている企業が大半です。
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年)によると、退職金制度を導入している企業のうち71.8%が「退職金一時金のみ」、23.3%が「退職一時金と退職年金の併用」、4.9%が「退職年金のみ」を使用しています。 なお、退職金の支給時期については、退職日から数か月後に支払うことが一般的です。

退職金制度の種類・主な特徴

こちらでは中小企業で導入できる代表的な退職金制度、積立準備方法について解説します。

中小企業退職金共済制度(中退共)

厚生労働省所管の独立行政法人が運営する社外積み立て型の国の退職金制度で、加入企業は37万9千所超*(令和5年5月末時点)中小企業の退職金積立制度としては最もメジャーな制度の一つとも言えます。
中退共は単独で退職金制度を持つことが困難な中小・零細企業向けに国の支援で設けられた制度のため、加入には条件があります。

*出典:中小企業退職金共済事業本部-加入をご検討中の方-制度の概要

加入条件や詳細/特徴はこちら

加入条件

加入条件

詳細/特徴

・3年7カ月以上、掛金を納付すると掛金相当額を上回る退職金が支払われる。
・法人の場合は損金、個人事業主の場合は必要経費となる。
・国の補助がある:中退共制度に初めて加入する事業主には掛金月額の1/2(上限5,000円)を加入後、4カ月目から1年間国が助成。
・掛金月額は最低5,000円~最高30,000円で16種類の中から選択可能。短時間労働者は掛金月額の他に、特例掛金月額(2,000円、3,000円、4,000円)も選択可。

メリット・デメリットはこちら

メリット

・加入に際して掛金助成制度がある
・掛金は全額損金算入可
・運営費(機構の人件費、管理費など)は国が負担
・転職しても転職先が中退共を採用している場合は移転可能

デメリット

・退職金や解約手当金が直接従業員に支払われる
・従業員が1年未満で退職すると掛け捨てになる
・原則全従業員加入の必要がある。事業主側で加入条件を付けることが原則不可能
・減額は可能だが困難(従業員の同意が必要)
・法人企業の役員は原則加入できない

企業型確定拠出年金制度(企業型DC)

企業型確定拠出年金制度は、企業が毎月掛金を拠出し従業員が自ら年金資金を運用する制度です。
運用成績によって将来の退職金額は変動しますが、従業員が自ら運用する金融商品を選択し運用するため運用リスクは加入者である従業員に帰属します。

メリット・デメリットはこちら

メリット

・運用リスクは従業員に帰属するため、企業側のリスクは少ない
・企業が負担する掛金は全額損金算入可
・転職時の資産の持ち運びが可能
・役員も加入可能
・中途退職時の事業主返還が可能

デメリット

・事業主が制度運営費を負担(各従業員に対して積み立てる金額とは別に金融機関に支払う手数料が発生)
・中途退職時の給付は不可

確定給付企業年金制度(DB)

確定給付企業年金制度は従業員が受け取る「給付額」があらかじめ約束されている企業年金制度です。運用リスクは企業が負い、運用結果が悪かった場合は企業が不足分を負担します。

確定給付企業年金制度は「規約型」と「基金型」の2つの種類があります。

規約型DB

「規約型」は企業が従業員の退職金や年金を支払うために、外部の生命保険会社もしくは信託会社等に委託して運用する方法です。企業は規約に基づいて毎月掛金を拠出し、生命保険会社もしくは信託会社等が管理・運用・給付を行います。

基金型DB

「基金型」は企業が従業員の退職金や年金を支払うために、企業自身が資金を運用する方法です。企業は法人格をもった企業年金基金を設立し、基金が、管理・運用・給付を行います。

メリット・デメリットはこちら

メリット

・給付額が約束された企業年金制度を有していることで、人材獲得、従業員の定着率向上が期待できる
・自己都合退職者や懲戒解雇者に対して減額支給可能

デメリット

・運用成績が悪かった場合の不足分の負担をしないといけない
・外部の受託機関または企業年金基金の運営コストが高い

中小企業退職金共済制度
(中退共)
確定拠出年金制度
(DCプラン)
確定給付企業年金制度
(DBプラン)
仕組み ●国による中小企業のための退職金準備制度(加入範囲が限定)
●加入企業が掛金負担
●加入者自身が運用を指図
●運用によって将来の受取金は変動
【企業型】掛金は企業が負担
【マッチング拠出】個人の拠出額は全額所得控除の対象
【基金型企業年金】
加入企業とは別に設立した企業年金基金(法人)が年金資産の運用・管理・給付を行う

【規約型企業年金】
加入企業が受託機関と契約、受託期間が運用・管理・給付を行う
特徴 ●運営費(機構の人件費、管理費など)は国が負担
●新規加入などには国庫から助成あり
●退職金の支払いは一時金の他、分割払いもあり
●転職先も加入していれば通算可能
従業員のメリット:
●個人にあった運用が選択可能
●転職時に資産残高の持ち運びが可能

従業員のデメリット:
●退職時の給付が約束されない
●運用リスクは従業員に帰属
従業員のメリット:
●退職時の給付額が確定
●運用リスクは原則加入企業が負う

従業員のデメリット:
●個人が年金資産の運用方法を指定できない
●転職時に資産の持ち運びが不可
給付金額の
保障
企業が保障 保障なし(従業員に運用責任帰属) 予定運用利回り1%
運用リスク 中退共が負う 従業員が負う 加入企業が負う
掛金保険料
の取扱い
●掛金は全額損金算入可
●掛金上限額:30,000円
●企業が負担する掛金は全額損金算入可
●掛金上限額:55,000円
●掛金は全額損金算入可

法人保険(法人契約の生命保険)

退職金の準備については法人契約の生命保険を活用する方法もあります。
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年)によると、従業員の退職金の準備方法では、「中小企業退職金共済制度」に続き、「生命保険」を活用した準備方法が多いようです。

法人保険(法人契約の生命保険)

出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年)」のデータをもとにエヌエヌ生命が作成
※「無記入」を除く

退職金には生存退職金と死亡退職金の2種類があります。生存退職金は、退職時に備えて少しずつ積み立てることが可能ですが、死亡退職金は突発的に発生するものです。
生命保険で準備をすることで、生存退職金と死亡退職金を同時に準備することができます。
こちらでは、一般的によく活用される「養老保険」を活用した福利厚生プランをご案内いたします。

養老保険を活用したプランはこちら

養老保険(福利厚生プラン)

保険期間中に死亡した場合、遺族が死亡保険金を受け取ることができ、保険期間の満期まで生存した場合、満期保険金が法人に支払われる商品です。

福利厚生プランとは、養老保険を用いて、法人が従業員を被保険者とした契約のことです。さらに、契約形態を
 ①法人を契約者
 ②役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者
 ③被保険者の遺族を死亡保険金受取人
 ④法人を満期保険金の受取人
 ⑤普遍的加入
とした場合は、保険料の1/2を「保険料積立金」として資産計上し、残りの1/2を「福利厚生費」として損金算入できます。
【法人税基本通達9-3-4参照】

養老保険(福利厚生プラン)

契約形態

契約者 被保険者 死亡保険金受取人 満期保険金受取人
法人 従業員(全員) 従業員の遺族 法人

養老保険の仕組み図(イメージ図)

養老保険の仕組み図(イメージ図)

※死亡・高度障害保険金・満期保険金は重複してお支払いしません。

メリット・デメリットはこちら

メリット

・死亡退職金や弔慰金等の財源として活用できる
・解約返戻金は会社に帰属する(懲戒解雇になった従業員に支払わなくてもよい)
・支払保険料の1/2を「福利厚生費」として損金算入可
・役員も加入可能

デメリット

・民間会社の取り扱いであるため、保険会社の経営破たんリスクがある
・多くの場合、解約返戻金は払込保険料総額を下回る

中退共との比較はこちら

中退共の特徴

厚生労働省所管の独立行政法人が運営する社外積み立て型の国の退職金制度
死亡保障を主な目的としていないため、十分な死亡保障を確保することが難しい
3年7ヶ月以上掛金を納付すると掛金相当額を上回る退職金が支払われる
拠出した掛金は会社に戻ることはなく、必ず従業員に支払われる
会社が共済契約を解約(従業員同意要) しても解約手当金は従業員に支払われる
法人の場合は損金、個人事業主の場合は必要経費となる

生命保険の特徴

民間会社の取扱いであるため 保険会社の経営破たんリスクがある
生命保険に加入することで 死亡保障を確保することが可能
加入する商品種類によっては解約返戻金がある

多くの場合、解約返戻金は 払込保険料総額を下回る
生存退職金の原資となる 解約返戻金は会社に帰属する
加入する保険の種類により 保険料の経理処理は異なる

*定期保険および第三分野保険の場合、保険種類ごとの最高解約返戻率に応じて、資産計上期間・資産計上額・資産計上額の取崩期間が決まります。
※制度設計にあたっては、企業の現状にあった対策を行う必要があります。
現状分析ならびに新たに導入する制度の分析を行い、慎重に対応する必要があります。

退職金制度導入のメリットとデメリット

退職金制度を導入すると従業員の定着率向上や税制面でのメリットがあります。
一方でコストの増加や導入後の廃止は困難といったデメリットがあります。

メリット・デメリットはこちら

メリット

①従業員の定着率向上
退職金制度がある企業は、従業員がその企業での長期的な雇用を希望するモチベーションにつながるため、勤続年数を伸ばしやすく従業員の長期的な定着が期待できます。また優秀な従業員の確保も期待できます。

福利厚生の満足度と勤労意欲の関係(イメージ)

福利厚生の満足度と勤労意欲の関係(イメージ)

出典:独立行政法人 労働政策研究·研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査(2020年)」よりエヌエヌ生命が作成

福利厚生の満足度と勤労意欲の関係(イメージ)

②税制面でのメリット
退職金制度は税制面で企業にとっても従業員にとっても有利な制度です。
企業側は掛金を損金算入できる場合があります。
従業員側は退職所得控除の活用や社会保険料が対象外になるなど、給与や賞与を受け取る場合と比べて優遇された税制が適用されます。

デメリット

①コストの増加
退職金制度を導入することは、企業にとって大きな財務的負担となる可能性があります。企業は従業員への退職金の積立支払いのを予算を確保しなければならず、まとまった現金を支払うことは資金繰りにおいては大きな負担になります。

②導入後の廃止は困難
退職金制度は法的に義務付けられてはいませんが、一度導入するとほかの福利厚生制度とは異なりやめにくいという特徴があります。
退職金制度の廃止は労働契約法の「労働条件の不利益変更」に該当するとされ、原則従業員や労働組合等の合意を得なければ労働条件を変更することはできません。そのため、導入時には長期的目線で継続して積立が可能か資金繰りを考慮したうえで慎重に検討することが必要です。

退職金の相場(平均支給額)

「退職金はいくら支給すればいいのか」退職金の相場について解説します。
まず、退職金の金額をいくらにするかは法律では定められていません。
そのため、退職金の有無や計算方法は企業が任意に決めるので企業によって異なります。
では平均はいくらぐらいでしょうか。中央労働委員会「賃金事情総合調査」(令和3年)によると従業員の退職金支給実態は以下の通りです。

従業員の退職金支給実態

勤続年数・学歴別退職者の平均退職金額

従業員の退職金支給実態

※男性従業員を対象とした調査結果です。
出典:中央労働委員会「賃金事情総合調査」(令和3年)

退職金にかかる税金の計算方法

退職金にかかる税金は、所得税+住民税+復興特別所得税(2013年~2037年までの間)です。
ただし、退職金にかかる税金は受け取り方によって異なります。

①退職金を一時金として「一括」で受け取る場合

退職金を一時金として受け取る場合、「退職所得」として、長年の功労に報いるために、大きな控除も得られ、他の所得と分離して課税されますので、他の所得より優遇されています。

  • ① 分離課税
  • ② 退職所得控除
  • ③ 課税対象は1/2
  • ④ 社会保険料対象外

退職所得にかかる税金の計算

退職所得にかかる税金の計算

※勤続年数5年以下の法人役員などについて1/2課税は適用されません。
※勤続年数5年以下の従業員の退職金の場合、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分について1/2課税は適用されません。

①所得税
(退職金-退職所得控除)×1/2 ×所得税率*1
②住民税
(退職金-退職所得控除)×1/2 ×住民税率*2
③復興特別所得税(2013年から2037年までの間)
所得税額の2.1%
①と②と③の合計が納税金額となります。

②退職金を年金として「分割」で受け取る場合

退職金を年金として受け取る場合は、「雑所得」「総合課税」として、課税がされます。
受け取る年金の収入金額に対して、「公的年金等控除額」が差し引かれ、公的年金等と合算して計算されます。

税金は次のように計算します。
①所得税
所得税=雑所得(年金 ー公的年金控除額*)×所得税率
*公的年金控除額は、受給者の年齢や公的年金等の収入金額により異なります。
②住民税
雑所得×住民税*2
③復興特別所得税
所得税の2.1%
①と②と③の合計が納税金額となります。

【ご参考1 「所得税」税額速算表(平成27年分以後)】

【ご参考1 「所得税」税額速算表(平成27年分以後)】

【ご参考2 「住民税」税額速算表】

【ご参考2 「住民税」税額速算表】

※東京都の場合

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・信頼できる情報源から得た情報およびデータに基づき構成されていますが、内容の正確性・完全性について、これを表明あるいは保証するものではありません。
・法令や制度などは2023年7月現在のものです。将来的には内容が変更となる場合がありますのでご注意ください。

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