夫の会社の成長を支える、経営者の妻の役割と心構えとは?
「つぐのわ」がきっかけになって夫婦で話し合えた「会社のもしも」
有限会社コーシン 経営者の妻 植村 直美さん
有限会社コーシンを経営する植村兼之社長の妻である植村直美さんは経理を担当しているが、会社のことはすべて夫に任せてきた。「経営者の妻のための情報サイト つぐのわ」を知り、そこに書かれている内容を夫と一緒に読みながら、会社の今後や気になっていた事業承継のことを話し合うことができた。
覚悟を決め後継ぎと結婚でもなんとなく不安が消えない
有限会社コーシンは、創業41年の東大阪市にあるオフィスパーテーションの製造会社だ。創業者である植村社長の父は引退し、2003年の事業承継後、総勢8人で日夜汗を流し会社を継続させている。
「夏は暑く、冬は寒い中で間仕切りを作るのは重労働です。なかなか若い人を募集しても来てくれませんね」
妻の直美さんは、植村社長と学生時代に知り合い、「いつか家業を継ぐのは当たり前のこと。そうなったら応援しよう」と何の疑問を抱くことなく結婚した。
「夫が家業に入ってから子どもが生まれました。その時には、話し合って私は子育てを優先することになりました」
子どもの手が離れた10年ほど前より義母から経理を引き継ぎ、今は週に1度出社し給与計算を担当している。ただ、最近では義父母の病院の送り迎えなどの世話をする機会が増えており、やはり会社のことは夫任せになっているという。
「経営者の妻という立場になってみると、漠然とした不安や心配なことが頭をよぎることがありました。そんな時だって誰にも相談できないし、一人で抱え込んでいましたね」
もともと学生時代からよく話をする2人だった。結婚してからも、子どものこと、家のこと、趣味のことなど、隠しごとはしないというルールを守りお互いに言いたいことを話し合う関係を築いてきた。けれども経営者として大変そうな夫には、「つかみどころのない不安」を相談しようとは思わなかった。
「経営者って体力的にも精神的にもきつい仕事だと思いますから、ただただ話を聞いたり、元気が出そうな食事を作ったりすることで少しでも夫のサポートができたらと思っていました」
何かあったら「つぐのわ」を見返す安心できるお守り代わりのサイト
半年前のこと、パソコンを見ていると「夫にもしもがあった時、継ぐのは妻のあなたかも」という言葉が目に飛び込んできた。
「えっ!私のことを言ってるのって思ってびっくりして…。読み進めていったら、これ私のためのサイトじゃないかと改めて驚きました」
自分が日頃、なんとなく不安に感じたり、ぼんやり考えていたことの答えがたくさん載っていて、「なんか、いいな」と感じたという。
「夫が亡くなったらどうなっちゃうんだろうと漠然と考えてみたことはあったのですが、どうしたらいいかわからなすぎてそのままになっていました。でも『万一のマニュアル』を読んだら、いざというときにはこういう段取りで連絡などをすればいいんだとわかりとても役に立ちました」
経営者の妻という立場を分かり合える友人はそばにおらず、またいたとしても会社の規模や事業内容が違いすぎて、「つぐのわ」にあるような話ができる知り合いはいなかった。
「今では、承継なんでもQ&Aの中にある専門家のアドバイスを読んで、いろいろ参考にしています」
自分にピッタリな情報が載っている「つぐのわ」がお守り代わりとなり、何かあったら「つぐのわ」を見直せばよいと思うだけで安心感があるという。
会社のこれからと息子への承継「つぐのわ」が夫と話し合うきっかけに
直美さんは、「こんなサイトがあったのよ」と夫にも「つぐのわ」を見せたという。
「その内容に関心を示してくれました。そしてこのことをきっかけに会社のこれからのことや事業承継のことを話してみようかということになりました」
今までは、まだまだ若いからとちゃんと二人で考えたり、話し合ってこなかったねと、これを機にお互いに思っていることを伝え合うことにした。
「テーマは大きく2つあって、夫が突然亡くなったときにどうしたらいいのかという話と息子に会社を継がせたいかどうかでした」
会社経営を一人でこなしてきた植村社長は、やはり万が一の時を考え、どこに何があるのか、取引先の連絡先などをきちんとマニュアルにしてくれていた。
「マニュアルの存在を知ったのは初めてでした。そこには、パソコンのパスワードなども書いてくれていました」
事業承継については、無理に継がせる気はないということがわかってほっとした。
「いずれは会社を畳むことも視野に入れているという言葉が聞けただけですごくよかったです。無理に継がせたいと言われたら大変だなと思っていましたので」
中小企業にとって、人材の確保が今後の課題で、それが解決できないと将来の事業継続は難しそうだという認識を共有できたことは大きいという。
「もし『つぐのわ』に出合えていなかったら、こんな話は絶対にしていなかったと思います」
経営者の妻としてもしもの時のため備えたい
経営者の妻になってよかったなと思うことがある。
「楽しい時も苦しい時も一緒に歩んでいると感じられるんです。苦楽を共にできているのがよいですよね」
夫が会社員を辞めて、家業を継いだ時には収入が安定しないのではと先行きが見えない不安があったが、やってみたら意外に順調に会社は経営できている。
「でも、やはり大変そうです。小さな会社なので、夫が何もかも一人でやっていますから、自分でないとわからないことが多すぎるのでしょうね。」
今回の「つぐのわ」をきっかけに話し合えたことで、少しは気が楽になってくれたらと願っている。
「これまでより会社のことや夫の経営者としての考えをいろいろわかったうえで話を聞いてあげられたらいいなと思っています。そうしたら、もっとストレス発散をしてもらえるかなと」
今までで一番大変そうに見えたのは、事業承継の時の相続だったそうだ。
「義父は何も対策をしていなかったので、夫がすべて打ち合わせや手続きをしていてとても苦労をしたと思います」
その思いを自分の子どもたちにはさせたくない。でもその時が来たら、前回の経験と「つぐのわ」があると考えている。
「もしもの時っていつ来るかわかりません。まだ若いとか、必要ないと思わずに、その時に慌てないで済むようにしたいんです。普段から経営者の妻として、備えておくことはとても大切だと思っています」
※本記事に記載の情報は2023年01月18日現在のものとなり、将来変更となる可能性があります。