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経営者の妻のための情報サイト つぐのわ

カフェ「つぐのわ」
~経営者の妻が知らないとマズいかも?!デジタル遺品の基礎知識~スマートフォン編

監修:一般社団法人 緊急事業承継監査協会
代表理事 伊勢田篤史

ここは、中小企業経営者の妻が集う、カフェ「つぐのわ」。今日も悩みをもつ妻たちが、カフェを切り盛りしている陽子にアドバイスを求めてやってきましたよ。

登場人物のご紹介

陽子

カフェ「つぐのわ」のミストレス(女主人)を務める。
おしゃべり大好きで世話好きでおせっかい。一度お店に来たお客さんの顔や話をすべて記憶している接客のプロフェッショナル。
カフェ「つぐのわ」は、コーヒーも美味しく、陽子が親身に相談に乗ってくれると評判で、経営者の妻を中心に常連客が多い。

瑞穂

今日の相談者は、設備工事会社を経営する夫を持ち、自身も手伝っている妻(62歳)。
つぐのわの古くからの常連客で、最近は友人に孫ができ始め、「うちの子はいつかなぁ…」と思い巡らす日々。
そんな最中、同業他社の社長が急逝し、妻が承継するのを目の当たりにする…。

~夫のスマホのパスワード、知っていますか?~

陽子

いらっしゃいませ~。
あら、瑞穂さん、こんにちは...
どうしたの?なにか暗いオーラが見えるわよ。

瑞穂

はぁ...とりあえず、いつものカフェラテください。

陽子

はいはい、いつものミルク多めのカフェラテね。
ひとまず、カフェラテ飲んで落ち着いてくださいな。
ケーキも食べるわよね...こういうときには、甘いものが一番よ

瑞穂

はい、ありがとうございます。

陽子

少しは落ち着いたかしら...

瑞穂

はい、ありがとうございます。
実は、主人の友人で家族ぐるみでお付き合いのある同業の社長さんが突然亡くなってしまって...

瑞穂

で、会社を任せることができる従業員もいなくて、お子さんもまだ学生さんで...結局、奥さまがあとを継ぐ形になって...

陽子

それは、大変ね。

瑞穂

いや...本当にそんなことあるんだなって...色々と考えてしまって...。
自分も、夫が突然死んだら...って考えていないわけではないけど、いざ身近に起こってしまうとね

陽子

そうね...経営者の妻であれば、一度は考えてしまうワーストケースよね。

瑞穂

夫に先立たれたら...私と子どもの生活は、どうなるのよ...

陽子

あれ、ご主人、生命保険に入っていないの?
そのための生命保険じゃないの?

瑞穂

え...あ...そういえば、「保険にはちゃんと入っているから、俺に万が一のことがあっても、心配するな」って言ってたわ。

陽子

よかったじゃない...ちゃんと家族のことを考えてくれるご主人で

瑞穂

そうか...保険があれば、私たちの生活も何とかなるか...主人がいなくなっても安心ね!笑

陽子

こらこら...不謹慎なこと言わないの。
でも、お金の話が解決ってなったら、突然顔が明るくなったわね。

瑞穂

ふふふ...でも、お金が一番心配じゃない?
お金の心配がないのであれば、もうこっちのものよ!

陽子

何がこっちのものなのか、よくわからないけれども...。
ところで、瑞穂さん。もしかして…ご主人の会社のパソコンやスマートフォンのログインパスワードってご存知だったりする?

瑞穂

もちろん、知らないわ。
私のも教えていないし...

陽子

社長である夫が突然死してしまったときに、「デジタル遺品」っていうのが大きな問題になるらしいわよ。
その中でも、亡くなったご主人が使っていたパソコンやスマートフォンのパスワードが分からないから、大事な情報にアクセスできないことが一番のトラブルみたい。

瑞穂

パソコンやスマートフォンの中のデータの話だから、「遺品」はなくて、「デジタル遺品」なのね...
で、何でトラブルになるの?
ログインパスワードが分からなくなってもなんとかなるでしょう。

陽子

実はそうでもないようで。スマートフォンの種類によっては、10回パスワードを間違えて入力すると、スマートフォンの中身のデータが全部消えてしまうらしいわよ。

瑞穂

え?そうなの?

陽子

実際に、突然亡くなって、慌ててパスワードを何度も入れてデータが飛んじゃうケースも結構あるみたいよ。

瑞穂

そんなことが...

陽子

スマートフォンを開けられないことで、葬儀の際に友人知人の連絡先が分からなかったり、遺影にするような写真を取り出せなかったり...色々と大変みたいよ。

瑞穂

写真なんてスマートフォンの中に入れなかったら、免許証の写真くらいしかないわよ。

陽子

免許証の写真を遺影にしないといけないなんて...辛いわね
でも、スマートフォンの中に入れなかったら、そういう事態にもなりかねないってことね

瑞穂

そうはいっても...なんだかんだでパソコンやスマホを開ける方法くらいあるでしょう。ショップとかに持ち込めば、何とかしてくれるでしょう。

陽子

いいえ、いわゆるキャリアショップに持ち込んでも開けることはできないそうよ...

瑞穂

そんな...どうしようもないの?

陽子

データ復旧の専門家に持ち込めば、パスワードロックを解除して、スマートフォンの中身データを取り出してくれるみたいよ。

瑞穂

なんだー、じゃあ何も問題ないじゃない。

陽子

いいえ...100%パスワードロック解除できるわけではないみたい。
費用もケースバイケースなようだけど、20~30万円くらいかかって、最新の機種であれば、データを取り出すのに半年から1年くらいかかるみたいなの。
相談した人の過半数は諦めるみたいよ

瑞穂

えええ~それは困るわね...
どうすればよいのかしら...

陽子

何はともあれ、万一の時に、スマートフォンを開けられる手段を準備してもらうことに尽きるのかしら。パスワードをできる限り共有してもらうとかね。

陽子

もちろん、生前には知られたくない、という方も多いと思うから、エンディングノートに書いておいたり、「スマホのスペアキー®」を残しておいたりすることも考えられるわね。

瑞穂

「スマホのスペアキー®」って?

画像:「デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた」(日本加除出版)

陽子

スマートフォンのログインパスワードを書き残す名刺サイズの紙、というイメージかしら。財布とか通帳とかに挟んでおけば、万が一の際にも、家族にスマートフォンのログインパスワードを伝えることができて安心みたい。

瑞穂

へぇ~なるほどね。
さっそく、夫にも「スマホのスペアキー®」渡してログインパスワードを共有させよう

陽子

でも、なかなか教えたがらないケースも多いみたいだから注意してね。

瑞穂

そういう場合は、どうすればよいの?

陽子

そうね~「スマホのスペアキー®」やエンディングノートで、スマートフォンのログインパスワードを開示しないと、あなたのパソコンやスマートフォンを何年かけてでも絶対に暴いてやる!とか言ってみたら?

瑞穂

それは、名案!
さっそくやってみるわ!ありがとう!

陽子

パソコンも大事なのだけど...それはまたの機会に...

瑞穂

え?何か言いました?

まとめ

パートナーに万が一のことがあったら...葬儀のこと、お金のこと、会社のこと...考え出したらきりがありません。そこで、まずは「デジタル遺品」から考えてみませんか?

陽子さんの説明のとおり、パスワードロックがかかったスマートフォンを、パスワード自体を知らない遺族が処理するのはとても大変です。

生前から、「デジタル終活」の一環として、スマートフォンのログインパスワードを共有できる仕組みを使って、事前に解除できる手段を共有しておきましょう。なお、生前から共有することはできないという方も、エンディングノートや「スマホのスペアキー®」等を使って、万が一の際に、家族にスマートフォンのログインパスワードを伝えることができるような仕組みを作るとよいでしょう。

※本記事に記載の情報は2024年8月30日現在のものとなり、将来変更となる可能性があります。

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