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経営のヒント

「ジェンダー平等の実現を目指す」
株式会社ヴィエリス 社長 佐伯 真唯子 氏

  • 女性経営者
  • 新規ビジネス

この記事は6分で読めます

SDGsという言葉を最近よく耳にする。Sustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」と訳されている。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標だ。


今回取り上げる企業は、全身脱毛サロン「KIREIMO(キレイモ)」を運営する株式会社ヴィエリス。7名でスタートしたベンチャーだが、わずか5年で大躍進、いまや従業員1600名を誇る一大美容企業に成長した。


一体、全身脱毛とSDGs、どんな関係があるのだろうか?実は、創業者である佐伯真唯子社長が、2018年5月31日の国連NY本部で"ジェンダー平等”や“女性力の推進”について行ったスピーチがきっかけだ。そのスピーチが評価され、2019年6月6日に開催された「2019 国連NY本部SDGs推進会議」にて2年連続スピーチを行うことになる。2019年6月6日には、アンワルル・K・チャウドリー国連大使より指名を受け、「FOUNウィメンズダイヤモンドコミッティ」チーフコーディネーターに就任。その後、第1回「国際女性デー HAPPY WOMAN AWARD 2019 for SDGs」に選出された。

写真)「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD 2019 for SDGs」表彰式 佐伯真唯子社長(一番左)
出典)HAPPY WOMEN®

実は佐伯氏、SDGsの1つである、「ジェンダー平等(女性と女児に対するあらゆる差別をなくすこと)を実現しよう」という考えに共感し、SDGsの認知度をアップするための活動を推進しているのだ。全従業員の98%が女性という特殊な職場環境で、女性が長く働くことのできる理想的な組織を作り上げることを目標としている。それにしてもこうした活動に取り組むようになったきっかけは一体何だったのだろうか?

インポスター症候群

佐伯氏:ある時、マネージャー達が「私には統括マネージャーは無理です」と言ってきたのです。ちゃんと成果を出しているのになぜだろうと思って理由を聞いたら、「私より他の人の方がもっとうまくできると思います」と言うじゃないですか。他人と比較して自分を低く評価していた幹部社員が多いことに驚きました。


自己肯定感が低い状態を「インポスター症候群(impostor syndrome)」という。実際は能力が十分あるのに、自分を過小評価してしまう傾向を指す。

佐伯氏:例えば映画ハリーポッターシリーズに出ている女優のエマ・ワトソンさんだとか、オバマ前米大統領夫人のミッシェル・オバマさんとか、facebookのCEOであるシェリル・サンドバーグさんだとか、みな自分は「インポスター症候群」だった、と話しています。そこで従業員を調査したところ、90%以上が「インポスター症候群」に当てはまりました。これは女性のエンパワーメントが進まない大きな要因の一つだと確信し、改善に向けて出来ることを模索し始めました。


そう思ったら直ぐ行動が佐伯氏の真骨頂だ。2019年5月には、福井県鯖江市と特定非営利活動法人国連の友Asia-Pacific、株式会社ヴィエリスの3者で「インポスター症候群ゼロ運動」をスタートさせた。協働のきっかけは、2018年ニューヨーク国連本部でのSDGs推進会議で、佐伯氏と牧野百男市長が出会ったことだ。

写真)TALSE(テルズ)「インポスター症候群ゼロ運動」スタートアップ合同記者会見(2019年5月)
出典)福井県鯖江市役所

2020年1月には、ツインメッセ静岡で開催された『SDGs推進 TGC しずおか 2020 by TOKYO GIRLS COLLECTION』で行われた「TGC SHIZUOKA WOMEN AWARD 2020」において、「東京ガールズコレクション(TGC)」らと連携し、SDGs No.5「ジェンダー平等の実現」に向けて「インポスター症候群」の現状をアピール、すベての女性が自信をもって輝く社会の実現を目指すことを発表するなど、その活動はとどまるところを知らない。


佐伯氏:現在は、鯖江市とだけでなく、WHO(世界保健機関)さんとも一緒に取り組みをさせていただいているのでアメリカとの比較とか、今データを貯めているとこです。


ヴィエリスでも女性の管理職はまだ多くはないという。女性管理者を増やすために、メンタルや働き方の面で、行政やNPO等と情報交換したり、ディスカッションしたりしていくという。自社では、ワークショップをやって自己評価をどうしたら高めることが出来るのか、模索している。


佐伯氏:弊社には男性社員もいるので、女性だからとか男性だからと区別せずに、ジェンダー平等を推進していきたいと思っています。

ところでヴィエリスの「働き方改革」はどうなっているのだろうか。話を聞いてみると、耳慣れないESと言う言葉が飛び出してきた。CS(顧客満足度)だけでなく、ES(従業員満足度)でも業界ナンバーワンを目指しているというのだ。時短正社員制度の導入や育休・産休取得の推奨、パート従業員に対する再雇用制度など、従業員が出産や子育て後に復帰しやすい雇用体系をこれまで整備してきた。そうした中、佐伯氏は、現場の意見を一番大切にしている。組織が大きくなるにつれ、企業理念の浸透がおろそかになるのでは、との思いからだ。


佐伯氏:やはり私たちのビジネスは人が主役なので、従業員一人一人の話を聞く文化をキープしていかないと、と思っています。月1、店長クラスと面談する時には、自分が喋るんじゃなくてまず相手の話を聞く事に徹します。なにか困っていそうだなと思ったらすぐにフォローに入る体制を取っているのです。


店長クラスは100人くらいいるという。月1の店長会には必ず顔を出す。店長クラスどころか、店舗スタッフの顔と名前も覚えているそうだ。自身がかつてエステティシャンだった、その原点を大切に、従業員の立場に立つことを忘れない姿がそこにある。


佐伯氏:私は「売り上げを上げろ」とか言った事ないんですよ。それよりも、仕事している時間は人生において長いじゃないですか。私自身、仕事を楽しくやりたいし、その方が自分のためになると思うので、従業員のみんなにも、どう仕事を楽しんでもらうかを意識していますね。そして、チャレンジしてもらいたいので、「こういう部署を作りたいです」と言われたら「どうぞどうぞ」って言ってます。(笑)

そこにあるのはあくまで従業員本位の温かい目線だ。


佐伯氏:(仕事を)やらされているのではなくて、どうやったら「自分ごと化」して自分からやりたい、と思ってもらえるかを意識しています。まずは本人に、この後の人生をどう送りたいのか、とか、会社の中でどうなりたいのかをよく聞いて、そこから「もっとこうした方がいいんじゃないの」と話すようにしていますね。


毎年900人採用するというヴィエリス。急成長を支えているのは「多様性」を認めるようになった社会の変化があると佐伯氏は言う。


佐伯氏: りゅうちぇるさんとか、Mattさんとか人気じゃないですか。多様性が受け入れられる時代になったと思いますし、男性も身だしなみを気にするようになりましたね。ひげだけじゃなく、すね毛脱毛の需要もあります。夏とか短パンとか流行ってますし。今は若い方たちが当たり前のように脱毛する時代になりましたね。


今後、メンズ専門脱毛サロン「MEN’S KIREIMO(メンズキレイモ)」の出店も加速させるとういう。


佐伯氏:立ち上げの時から日本一の脱毛サロンになるという目標を掲げてきました。CS・ESと売り上げのすべてで日本一を達成してみたいですね。