「税理士は人間業。お客様と同じ目線に立つ」税理士 小泉裕子氏
エヌエヌ生命の代理店は全国で約5,500店。そのうち4割にあたる約2,500店は税理士・公認会計士の代理店である。
今回は、会計専門学校の講師としてキャリアをスタートさせ、後に税理士事務所を開業し、約160社の中小企業に寄り添ったコンサルティングを行っている小泉裕子税理士に、なぜ生命保険を扱うのか、その想いを聞いた。
小泉氏は昭和60年(1985年)から平成14年(2002年)まで大手会計専門学校で相続税の専任講師として勤務した。税理士事務所を開業したのは平成10年(1998年)。生命保険6社の代理店として株式会社ユアシードを平成27年(2015年)に設立した。
その小泉氏、「当たり前のことを当たり前にできる事務所」を標榜している。
「税理士事務所さんの中には、『今年の申告書ができました』、『決算書組みました、はい、税金はこれですよ』、といったいわゆる経理処理しかしないところもありますよね」
そう指摘する小泉氏は普段どのようなスタンスでお客様に向かい合っているのだろうか。尋ねると小泉氏は経営者が保有する土地の売却のケースを上げた。
「『住んでいる家を売却すると3000万円の特別控除があります、税金かからず良かったですね』、で終わってはいけないですね。『来年国民健康保険料は最大になりますから気をつけてくださいね』、まで言わなければいけません。当たり前のことを当たり前にやる、というのはそういうことなのです」
また小泉氏は、退職金積立に生命保険を活用するメリットを経営者に説明することで大変感謝され、それが長期の顧問契約につながったり、さらに他のお客様を紹介してもらったりしていることをあげた。
生命保険を扱うようになったわけ
23歳頃から講師をし、その後税理士として独立した小泉氏。複数の生命保険会社を扱うようになったきっかけはなんだったのだろうか?
「最初は一社専属の個人代理店からスタートしました。様々な財務状況を見ているとお客様のニーズによって保険の提案内容も全く異なります。1社ではなく保険会社も数社色々な部分で売りがありますから、それをしっかりとお客さまへお伝えしたいと考えまして、保険の代理店部門としてユアシードを設立しました」
講師としてのキャリアが税理士として仕事に役立っていると言う小泉氏。
「税理士業務も結局は全てお客様に分かって頂かなければなりません。普通の言葉で噛み砕いて、いかにお客様が分かりやすく納得いただけるか、という部分では、講師の経験が役に立っていると思います」
ユアシードでは6社の生命保険の商品を扱っている。そこにも小泉氏なりの考えがあった。
「資本金でお金を出資して個人財産が全くない経営者の方は結構多いと思いますが、ご家族もいらっしゃったりすると、もしその方に万が一のことが起きた場合、大変な状況になってしまいます。
そういったところのリスクヘッジがとても大切ですし、経営者が倒れた時の医療や、障害、そして従業員まで及んだ退職金などをカバーできるのが生命保険なのです」
税理士は、財務を含め、その会社の全てを見ている存在だと話す小泉氏。
確かに、会社を設立した経緯から、社長の家族構成から、木から森まですべて見ているのが税理士だという。
「社長さんはなかなか外に相談できないことでも、税理士には何でも相談される事が多いです。ですから、税理士は生命保険の知識を持っていくのは当然だと昔から思っています」
そうきっぱり話す。
「経営者のご勇退までを考えるのが顧問です。『法人税の申告がこうなりました』、だけでは絶対違うと思います。例えば、借り入れをしたら保険で万が一の場合のリスクを買っておかないといけません。無解約返戻金型収入保障保険なら、借り入れが毎月返済して減っていけば保険料も安くてすみます」
ユアシードは複数の保険会社の商品を扱っている。小泉氏は、そのメリットとして、特に経営者が病に倒れたときのリスクについて語った。
「保険というと、死亡保障だけに目が行ってしまう。でも、実は生きながらえるのに一番お金がかかります。体が不自由になった状態、いわゆる生活障害をカバーする保険でも、退職積み立てのようなプランもあれば、掛け捨てで安いお金で保障を買うプランもあります。それぞれ保険会社が違ったりするのですね」
また、医療保険でも最近では入院1日で先に10日分でるような商品が出ている。かつてほど長期に入院しないからだ。8大疾病といって糖尿病などもカバーするなど新商品も出てきている。
がん保険も、がんの責任開始日以降に初めてがんと診断されると最高で2億円の保障があるものや、抗がん剤投与まで保障があるものや、無期限で保障がある、1年間に1回大きな治療を行うと100万円保障があるなど、がん保険と言っても各社様々である。
「要は経営者とか役員の方が病に倒れられたり、ガンになったりした時、保険会社によって売りが全然違うのです」

ユアシードはそうした各社の保険を組み合わせて提案できるのが強みだ。
税制改正
次に聞いたのは法人保険の税制改正の影響だ。令和元年の改正で原則、最高解約返戻率が50%超の保険については保険料の一部が資産計上されることになる。
小泉氏は、「節税保険なんてものは当初からない」と顧客に説明しているという。保険料の全額が損金に計上される保険に加入しても、解約返戻金は益金となり課税対象となるからだ。
「積立保険は課税の繰り延べにすぎません。経費で落としたものはいつか利益に変わるということを分かっていなければいけません」
一方で、「会社に利益が出ているときは(保険料は)経費で落とせて、赤字になった時は(保険を)解約すれば資金調達になるわけです。“資金のストック”としても保険は重要」だと経営者に説明しているという。
その上で小泉氏は、積立率や保障の考え方を丁寧に説明し、それぞれの会社に合った保険商品を勧めている。
「例えば保障を手厚くしたい会社だったら『このぐらいの積立利益率で抑えておけば経費率も高くて保障も買えるけど、戻りは少ないですよ』と、一方、そんなに保障は大きくなくてもいいけれど、ある程度積んでおきたいという会社には、『積めるけど経費率は低いですよ』と話しています」
エヌエヌ生命の評価
複数の保険会社の商品を扱っているユアシードだがエヌエヌ生命の商品を評価している、と小泉氏。
「『エマージェンシープラス』は死亡保障、災害保障がでますし、要介護や認知症などのリスクをカバーする生活障害保障型定期保険の『クオリティプラス』は、保障と解約返戻金が準備出来る点を一番評価しています」
また、エヌエヌ生命の担当者のきめ細かいアドバイスも助かっていると小泉氏。
「保険税制が変わった段階でこちらも不慣れじゃないですか。例えば逓増定期も、前の考え方とは全然違ったりするので、例えば経営者の年齢とか会社の実情とかに合わせて、この年数で組みたい場合にどうしたらいいですかと聞いてもすぐ回答くれるので、何でも相談しています(笑)」
これからの税理士業界
これから税理士の仕事はどう変化していくのか。
CFP(認定ファイナンシャルプランナー)の資格も持っている小泉氏の答えは明快だ。
「お金に関わる全てのこと知っていなければいけないと思っています。財務処理だけではなく、保険にも不動産にも詳しくなくてはいけないですし、税制改正の知識も必要です。消費税もインボイス制への流れがあります。また相続後の税の問題もすごく大きい。税務顧問になった以上は、長いスパンで見て、保険も活用し、万が一のリスクヘッジをすることが、これからの税理士は絶対必要です」
「税理士の仕事って、人間業とでもいうのでしょうか。お客様と同じ目線に立ちましょうよ、みたいな考え方が昔から私にはありますね」
という小泉氏の今後が楽しみだ。
※この記事に記載されている法令や制度などは2021年12月時点のものです。法令・通達等の公表により、将来的には制度の内容が変更となる場合がありますのでご注意ください。
小泉裕子税理士 プロフィール
・1985年~2002年まで、大手会計専門学校(東京CPA会計学院、東京商科学院、LECほか)の相続税専任講師及び会計専門誌の掲載などを17年経験
・1998年10月、小泉裕子税理士事務所(関東信越税理士会朝霞支部)を独立開業
・2004年8月より、東京税理士会本郷支部に所属
・2010年9月~2014年8月まで、埼玉県和光市の代表監査役に就任(本名「赤松裕子」にて)
・2015年1月、生命保険6社の代理として「株式会社ユアシード」設立。
代表取締役 赤松裕子。
・2016年12月、CFP資格審査試験合格
事務所概要 職員 スタッフ 4名 (全員 実務経験20年以上)
インタビュアー
株式会社安倍宏行代表取締役、Japan In-depth編集長安倍宏行
1979年 日産自動車入社。海外輸出·海外事業計画などに従事。
1992年 フジテレビ入社。記者、ニュースジャパンキャスター、NY支局長、経済部長、解説委員(BSフジプライムニュース)
2013年 解説メディア“Japan In-depth”創刊。
・危機管理コンサルタントとして独立。
・経営トップ向け“情報発信力強化”サービス開始。
2016年 コンテンツマーケティング支援業務開始
2017年 産業能率大学客員教授
当社代理店制度に関するお問い合わせ・資料請求
代理店制度に関するお問い合わせ・資料請求はこちらよりお申し込みください。