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【起業家向け】木下税理士が分かりやすく解説 法人保険の意義と考え方

起業をすると忙しさに追われてしまい、必要性を薄々は感じながらも保険の検討は後回しにしてしまいがち。
そんな方に向けて、多くの企業経営者をサポートされている公認会計士・税理士の木下勇人先生に、法人向け生命保険がなぜ必要なのかや、法人向け生命保険の活用方法を分かりやすく解説いただきました。

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税理士法人レディング/木下勇人公認会計士事務所 代表


大学4年時に不動産鑑定士第2次試験合格し、その後公認会計士試験合格を経て監査法人トーマツ入所。

オーナー企業に対する事業承継・組織再編支援の部隊に専門的に所属。

独立後は、数多くのオーナー企業の事業承継支援を中心に、事業立案にかかわるコンサルティングも業務も行う。

また、個人富裕層の財産管理業務も並行することで、企業・個人のトータルサービスの提供を行う。

全国の税理士へ講演実績が多く2019年度実績で100回を超える実績を誇る。

愛知県津島市出身。東京税理士会 京橋支部所属

1. はじめに

はじめまして。公認会計士・税理士の木下勇人と申します。

スタートアップ企業から大規模な企業など、多くの社長をクライアントにもっており、様々な経営相談を受けています。


本寄稿を進めているまさに今、世の中はコロナショック一色となっています。その影響は想像のはるか上をいくものであり、経営者のみならずサラリーマンでさえ、自らの存在価値を改めて見直す時期に差し掛かっているのではないでしょうか。


今後、不安定な世の中で生き残りをかけていく起業家の皆様に向けて、経営者として必要となる心構えをお伝えさせていただきます。

2. 法人経営者に突然不幸が起こったら・・・(実話:実父の話)

緊急事態宣言が発令されている現在のコロナを取り巻く状況においても、「自分だけは発症しないんじゃないか」という心の甘えがどこか片隅にありませんか。

症状の進行が非常に早く最悪のケースは死に至らしめる可能性がある、ということは誰もが理解するところになりました。

人間誰もがいつか相続が発生します。そんなことは誰もが理解をしているはずが、上記のコロナの例をとっても、どこか対岸の火事であるような気がしてなりません。


私の実家は、兄夫婦と母の3人で精肉業(会社形態)を営んでいます。そこには父の姿はありません。

今から47年前(1973年)、愛知県のとある地方都市において父母が精肉業を起業させましたが、24年前(1995年)に父(享年45歳)が急逝しました。死因はくも膜下出血。家族の誰も予想していない出来事で朝病院に運ばれた際も数か月入院して退院するんだろうと軽く考えていた兄と自分の姿がありました。どこか対岸の火事だったように思います。


当時、会社では運転資金を補うために1千万円単位の銀行借入が残っていました。

大学1年生であった私は、以前父が生命保険に加入していることを把握していましたが、結論は・・・何も死亡保険金は支払われませんでした。なぜなら、父が亡くなる半年前に資金繰りが厳しくなり法人契約の生命保険を解約してしまっていたのです。

45歳で亡くなった父が遺したくれたものは思い出含めてたくさんありましたが、銀行借入という負債も遺していく結果となりました。当然、父の死亡退職金も出るわけもなく、母の給料が増えるわけもなく。


すぐに1つ上の兄が家業を継いでくれ、母と兄が必死に返済をしてくれたことには今でも感謝しています。

しかしながら、仮に資金繰りが厳しくても保険料負担が小さい掛捨て保険(解約返戻金がないタイプの定期保険)を解約しなければ、死亡保険金は会社に入り、その資金でおそらく銀行借入を返済できていたはずだと思います。

それに、父の死亡退職金も出ていたかもしれません。こんなことはどこにでも起こりうることですので、起業家の皆様には残された遺族や従業員のことを真剣に考えていただく機会と捉えていただけると幸いです。

3. 法人保険加入のメリットとは? ~個人保険加入と比較して~

さて、死亡リスクの話はご理解されたかと思いますが、それを担保するために生命保険が存在しています。

生命保険の入り方は「個人」「法人」のどちらも存在します。一般的な生命保険のイメージは前者(「個人」)ではないでしょうか。個人で掛捨て定期保険に入ると年末にある書類が生命保険会社から送られてきますよね。そう!「生命保険料控除証明書」です。サラリーマンの方は年末調整前に会社へ提出して1年間の税金の精算をしていくことになります。ご存知かもしれませんが、死亡保障のための一般的な掛捨て定期保険を年間30万円支払ったとしても、年末調整や確定申告で控除できるのは「4万円」が上限です。


えっ!? 26万円は経費(控除の対象)になってないの? って思いませんか。個人保険の場合はこれが現実なのです。

これに対し、法人保険で掛捨て定期保険に入ると状況が変わります。法人保険の場合には支払った「全額」が損金(経費)になります。全額損金(経費)になれば、その分だけ税金(法人税)が少なくなることを意味します。


次に、個人で掛捨て定期保険に入る場合には、個人口座に振り込まれた手取額から支払うことになりますが、そもそも手取額は「税金(所得税・住民税)」それに「社会保険料(年金・健康保険等)が控除されています。つまり、諸々控除された残りの中から、さらに生命保険料を支払っているのです。

これに対し、法人で掛捨て定期保険に入る場合には、支払保険料を全額損金(経費)計上し、さらに会社負担の社会保険料を控除し、残った所得(利益)に法人税等が課せられます。

つまり、税金や社会保険料を支払う前に支払保険料を全額損金(経費)計上でき、資金効率が良くなる(手取りが多くなる!)ことを意味します。

※保険金等を受け取った際には全額が益金計上となります。


上記より、個人保険よりも法人保険の方が資金効率が良いことを理解できたかと思いますが、勘の良い起業家の皆様はふと疑問に思われるかもしれません。法人で生命保険に入ると自分の身に何かが起こった際に保険金が支払われるのは「個人ではなく法人である」と。その場合、法人の借入金は返済できるが残された遺族にはお金が入らないじゃないか。

その場合でもご安心ください。死亡退職金という形で遺族へ支給することで対応することが可能になります。死亡退職金には相続税がかかりますが、遺族の生活保障の観点から一定の非課税枠も設定されています。

4. 個人保険を法人保険へ切り替えることは可能?

これまでのお話をお聞きになった起業家の皆様は、「おっ! じゃあ個人保険を法人保険へ切り替えることを検討してみるか」とお考えになるかと思います。だって、法人保険の方が資金効率が良い(手取りが多くなる)から。


法人保険への切り替えには「個人から法人への名義変更」と「個人保険をやめて法人保険に入り直す」という2つのやり方があります。

まずは、生命保険会社によっては、個人保険を法人保険へ名義変更することを認めないケースもありますので注意が必要です。


次に、法人保険に入り直す方が有利になるケースが多くあります。少しマニアックな話になりますが、「標準生命表」というものが関係しています。「標準生命表」とは、金融庁から委託を受けた「日本アクチュアリー会」という団体が、年齢・性別ごとに「死亡率」「平均余命」を算出した統計表のことで、これが、2018年(平成30年)4月、に約10年ぶりに改定されました。例えば40歳男性であれば、改正前よりも平均余命が長くなったために生命保険料が「安く」なるのです。

総合的に勘案すると、まずは法人保険に入り直すことをご検討されてみてはいかがでしょうか。

5. 個人保険を解約することはしたくない! でも法人での保障もほしい・・・

昔の健康状態よりも今は数値も悪くなっており、個人契約はそのまま活かしておきたいが、法人での保障も確保しておきたいというニーズもあるかと思います。私もクライアントからよく相談されるケースです。


そのような事情であれば個人保険はそのまま契約保持しておき、法人保険を別で検討することも一つの手です。ただし、資金繰りを考えても無制限に何でも加入する訳にもいきませんので、あくまで「必要保障額分だけ」加入すればよいかと思います。必要な保障を買う感覚です。

考え方は、社長に相続が発生した場合を想定し、何が影響を受けるかを細分化します。①相続発生時における売上減少(1月当たり) × ②売上回復までの期間(月数)がイメージしやすいのではないでしょうか。


上記に該当するだけの死亡保険金が法人に入り、後継者がいればその後継者がその資金使って事業回復を図るかもしれませんし、場合によっては借入金返済や死亡退職金に充当し会社を清算するかもしれません。その選択権は残された遺族にありますので、法人保険に加入することで弾力的な考え方が可能になるのではないでしょうか。

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